接種率たった3%の国。打ちたくても打てぬ中米ニカラグアのワクチン事情

2021.09.06
by kousei_saho
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国によって大きな開きがある、新型コロナワクチンの接種率や優先順位。日本の「ほぼ裏側」に位置する中央アメリカは、どのような状況なのでしょうか。今回の無料メルマガ『出たっきり邦人【中南米・アフリカ編】』ではニカラグア在住の日本人著者・げーこさんが、同国のワクチン事情をレポート。紹介されていたのは、途上国が直面しているワクチンを巡る厳しい現状でした。

ニカラグア・ブルーフィールズ発 住めば都?!ブルーフィールズ 第138回 ニカラグアでロシア製のワクチン接種

ワクチン接種についてはいろいろ議論あるけど、先進国では打てる状況なのに自分で選択して打たない人がいる一方で、途上国ではそもそも打ちたくても打てない状況である。

ニカラグアのワクチン接種状況は、接種完了した人が人口のわずか3%という、世界でも信じられない低さ。自分では買えず他国に買ってもらうものなので、しょうがない。

その時々で他国に恵んでもらうワクチンが違うので、種類は選べない。冷凍設備が整っていないニカラグアではファイザーなどは難しく、打てるのはアストラゼネカまたはロシア製のスプートニクVである。我々が打った期間に接種していたのはスプートニクだった。

真っ先に優先されるのは医療関係者ではない。優先順位は、まず65歳以上の高齢者、持病のある人、そして警官・兵士、国境の入国審査官、そしてやっと医療関係者。高齢者枠は、65歳の次は55歳、50歳、45歳まで下がってきている。人口の半分が15歳以下という若い国なので、45歳から高齢者扱いである。

我々は、会場は7時に開くけど早めに6時頃行った方がいいと言われて6時ぴったりに到着した。入り口で検温、手指のアルコール消毒を終え、たぶん一番だろうと思いきや、奥にはたくさんの人がいて、もらった整理番号はなんと90番。

日本ではワクチン接種招待状が届くそうだけれど、こちらでは居住地の接種会場に直接行って身分証明書を見せて年齢制限をクリアして接種する。整理番号をもらうまでが大変である。長い列で待っているうちに本日のワクチンは終了しましたと言われるのがオチなので、みんな早朝から列に並ぶ。

人口の多い首都では前夜11時半から徹夜で待つ人もいる。地方の知り合いは、午前4時前に会場に到着したが、整理番号はなんと800番台。一つの会場に配布されるワクチン数は1,000本なので、ギリギリで打てたそうだ。ちなみに外国人でも規制は全くなく、居住許可証を持っていれば打てる。会場では私が唯一の外国人だった。

無事に整理番号をもらって着席したら、5人くらいの看護師集団がどやどやとやってきて血圧を測ったり年齢を聞いたり同意書に署名させたりする。これは任意の接種なので、副作用で何かあっても一切責任はとらないけどいいね?という同意である。

血圧が高い人たちには降圧剤をその場で飲ませている。インフルエンザ予防接種を15日以内に受けた人はいないか大声で全員に聞いている。接種前の注意事項はこれくらいである。個人的な問診はないので何か心配事がある人は自分から聞きに行かないといけない。

その後は流れ作業で、どんどん進んだ。コンピューターに個人情報を入力してから、いよいよ接種。ただの水じゃないかという疑惑が消えなかったが、目の前で小指くらいの大きさの小瓶を開封して注射器に入れていたのできっと大丈夫。

その後はしばらく列で待たされ、その後大きな部屋で椅子に座って待機。その時初めて住所、電話番号を聞かれる。既に連絡先を把握してから招待状を送るんじゃなくて、打った後で連絡先を入力するシステムである。

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