プーチンが見せた核戦争“3つの兆候”。もう「まさか」は通用しない

shutterstock_52890082
 

ウクライナ侵攻から2ヶ月半が経つものの、未だ思った通りの戦果を挙げられず苛立ちつばかりのプーチン大統領。かねてから口にしてきた戦術核の使用は、果たしてあり得るのでしょうか。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、ここに来てロシアが見せ始めた核兵器使用を前提とした3つの動きを紹介。さらに事態がここまでに至った背景を解説するとともに、今後の趨勢を占っています。

読みやすさを追求した情報リテラシー指向の時事評論を展開する内田誠さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

核戦争の危機につながる3つの出来事:「デモくらジオ」(5月6日)から

核戦争の危機につながる出来事でどんなことが起きているかというと、3つほどあります。

1つは先ほどのカリーニングラードで、実はイスカンデルという核弾頭搭載可能なミサイル、超高速で飛ぶ奴ですが、その模擬試射という、実際に撃つのではなく、撃つ形を実験としてやりました。

それから2つ目は5月9日の対独戦勝利パレードに、イリューシン80という飛行機を登場させる(編集部注:9日の本番は航空ショーが中止となりました)。これ、ロシアとして初めてのことでして、定評のある旅客機ですよ。これを改造して、大統領が乗って指揮をする、政治および軍事の指揮を行うための飛行機。4機あるということです。アメリカも同じようなものを当然持っていますが、核戦争でワシントンがやられた、ロシア側で言えばモスクワがやられたときに、政治の中枢に核が落とされて防げなかったということになると、一気に指揮命令系統が毀損されてしまう。それを避けるために空中に政府の最高意志決定部門が移動するということ。

これ、核戦争前提の装備なんですよ。政府専用機みたいな簡単な話ではなくて、軍事的な、つまり兵器の一種と言っていいので。つまり米ロ双方とも、お互いの国土の近いところの海底に原子力潜水艦を待機させていますので、その潜水艦に対して核ミサイル発射の指示を出すことができる飛行機。これが出てくるんですって、パレードに。これ凄いんですよ、「終末の日の飛行機」と言われている。つまり核戦争を前提とした装備です。イスカンデルも核弾頭搭載可能なミサイルです。

そして3つ目。これ一番新しい話ですけど、日本海で、今度は船から潜水艦を狙うミサイル、これの実験をして成功した。つまり船からボーンとミサイルを打ち上げ、それが海の中に入っていって、海中の標的を破壊する、届くという実験に成功したとロシアの国防省が発表しています。

これで3つそろいましたよね。いずも核戦争を前提とした話ですよ。SLBMで核ミサイルを撃つことの出来る原子力潜水艦、これが潜んでいるわけですけれど、それを見つけて破壊するという意味ですから。

つまりは抑制的な要素がどこにもない、むき出しの本格核戦争をイメージさせるようなことをロシアはやっています。で、こうしたことの背景として、これは大分前からずっと申し上げていましたけれど、大量の最新兵器というか、今のウクライナ軍に必要な兵器をいわゆる西側がポーランドあたりからウクライナに送り込んで最前線に届けていると。それによって戦況が大きく変わっていく可能性があるんですね。

既にキーウの包囲戦に失敗したロシア軍ですけれど、そのときは有名になったジャベリンとか、他の国にも色んな対戦車兵器があるのですが、対戦車兵器で一説には400輛とかの戦車が破壊されて、木っ端みじんにやられているんですね。そこで、残った兵をかき集めて、東部の、つまりなんとか戦争目的を(一部でも)達成できそうな、勝利宣言につながるような東部の支配を目指して、大戦車群で襲いかかると。それが今の状態。

読みやすさを追求した情報リテラシー指向の時事評論を展開する内田誠さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • プーチンが見せた核戦争“3つの兆候”。もう「まさか」は通用しない
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け