ロシアのダーチャ文化が教えてくれる「何が役立つか」の考え方

 

かつて帝政ロシアでは、モスクワなど都市の近郊に「ダーチャ」と呼ばれる別荘を持つことが流行しました。貴族が所有する豪華な建物もありましたが、庶民のダーチャは質素な建物で、何人かで共同所有する場合もあったそうです。

そして、このダーチャには「農園」が付いているのが特徴です。週末になると、人々はダーチャに出かけ、自給自足的な別荘生活を楽しんでいました。別荘コミュニティーを通した「ダーチャ文化」が花開いたのです。

革命後、ソ連の時代になると、ダーチャは接収され国家の共有物となりましたが、政府は、これを取り壊したりせず、国営で管理し、国民の保養施設として活用しました。

その結果「ダーチャ文化」はソ連時代にも引き継がれ、1991年のソ連崩壊後には、再び国民の間で「週末はダーチャで過ごす」というライフスタイルが拡がることになったのです。

現在のロシアでは、全国の3分の1の世帯が「菜園付きのダーチャ」を所有しています。

ソ連崩壊後のロシアには米国などの資本家がハゲタカのように群がり、経済はハイパーインフレに見舞われましたが、紙幣が紙屑になる状況でも庶民が生き延びることのできた理由のひとつが、このダーチャの存在だったと言われています。

それぞれのダーチャで収穫された作物は、貨幣を必要としない物々交換的な経済の中で消費されました。こうした経済システム?において、インフレは力を失います。

つまり、「何が役に立つか分からない」というのは、こういうことです。

自分が「良い」と思ったこと(できるなら愛する人たちにとっても「良いこと」)にエネルギーを注ぐことが、思わぬ打開策を生むのです。

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