トランプ劇場も“終幕”か。米中間選挙で不発に終わった「赤い津波」

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多くのメディアが共和党の圧勝を予想したものの、蓋を開けてみれば民主党の大善戦となったアメリカ中間選挙。なぜトランプ前大統領率いる共和党の「赤い津波」は起こらなかったのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、その大きな要因はZ世代の投票行動にあると分析。さらにこのような現実を知ってか知らずか次期大統領選への意欲を示しているバイデン大統領に対しては、「錯乱的」との厳しい見解を示しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年11月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

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米中間選挙の最終結果は、12月6日のジョージア州での決選投票を経ないと確定しない。しかし、上院では民主党がすでに50議席を確保。仮にジョージア州で敗北しても50:50となり、上院議長を兼ねる副大統領の1票があるので法案は通る。下院では共和党が恐らく過半数の218議席を超えるだろうが圧勝と言えるほど強くはなく、つまりは民主党が恐れていたトランプ前大統領による「赤い津波」は起きなかったということである。

トランプの馬鹿騒ぎ散々の結末

トランプは、自らが落選した2020年大統領選は「不正選挙だった」という主張を支持することを条件に200人ほどの共和党候補を推薦し、実際に選挙応援に駆けつけるなどして8割超を当選させることに成功した。とは言え、その多くは、トランプ支持勢力に擦り寄ることなしには予備選も本選も到底勝ち抜くことが出来そうになかった資質優秀とは言えない弱小候補であり、選挙戦に生き残る方便としてトランプの主張を口先で支持して見せただけという者も少なくない。従って、彼らが1つの大きな塊となって共和党の主流を形成し、2年後のトランプ再登場の舞台を用意する流れになるかどうかは、かなり疑わしい。

むしろ話は逆で、21年1月のトランプ支持者による連邦議会襲撃事件以来これだけの馬鹿騒ぎを繰り広げてきた挙句のこの結末を見て、「トランプは終わった」という感想を抱く共和党支持者もかなり多いと言われる。とすると、例えば今回のフロリダ州知事選でトランプへの媚びなど見せることもなしに悠々と再選を果たしたロン・デサンティスのような真っ当な共和党的保守人士が一気いに浮上して24年の大統領候補となる可能性がむしろ強まったのかもしれない。

ロン・デサンティスは、イタリア系で、イェール大学歴史学科で学びつつ同大学野球部のキャプテンを務めた。卒業後、歴史の教師や野球のコーチをしながらハーバード大学ロースクールで博士号を取得し、途中海軍に入ってイラク戦争に従軍、12年に連邦下院議員に当選という、まさしく文武両道を絵に描いたような44歳。こういう人が出てきてくれないと米共和党もお終いと誰もが思うのではないか。

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