福祉国家でも少子化が進んでいるというのに フィンランド 日本より低い出生率
だが、子育て支援が日本と比べものにならないほど充実し、男女平等の社会の模範的存在ともいわれるフィンランドも、日本と同様に少子化に。
合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数)は2011年から減少を続け、19年には過去最低の1.35にまで下落。 日本(同年1.36)よりも低くなった(*4)。
フィンランドで少子化が進むのは、子どもを欲しがらない人が増えているから。
同国のNGO「人口連合」が1997年以降、実施するアンケートでは、「理想的な子どもの数をゼロ」と答える人の割合は、長い間、1.5%~4%であったのが、しかし2015年の調査では14.8%まで上昇。
とくに20代の若者の間では24%にまで上った(*5)。
「男女平等が進めば出生率が上がるという理論については、それを証明する根拠が十分ではありません」(*6)
人口連合が運営する「人口研究所」でリサーチディレクターを務めるアンナ・ロトキルヒ氏はそう指摘する。そして、フィンランドで少子化が進む背景を、
「子育てを生活の中であまり重視しない考え方が広まっています。(仕事を通じた)自己実現の重要性がより強調されるようになったためだと見られます」(*7)
とした。
■引用・参考文献
(*1)岸本拓也・中沢佳子「こちら特捜部 麻生太郎氏また舌禍…女性ばかりに「期待」する自民党政治家たち 少子化問題 今何が求められているか https://www.tokyo-np.co.jp/article/226983」東京新聞 2023年1月24日
(*2)今野晴貴「『親への恩義』を植え付けろ! 奨学金が「『借金』となったダークすぎる経緯とは https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20230114-00332830」Yahoo!ニュース 2023年1月14日、
(*3)今野晴貴 2023年1月14日
(*4)岩佐淳士「少子化考 世界の現場から フィンランド、模範国に異変(その2止) 産まない選択も人生 広がる個人主義 https://mainichi.jp/articles/20220222/ddm/003/100/109000c」毎日新聞 2022年2月22日付朝刊
(*5)岩佐淳士、2022年2月22日
(*6)岩佐淳士、2022年2月22日
(*7)岩佐淳士、2022年2月22日
(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2023年2月4日号より一部抜粋・文中一部敬称略)
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