ここ数ヶ月の間、世界中の耳目を集めているChatGPT。そんなAIが日本において、初めて国会の場で用いられたことが大きな話題となっています。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、野党議員がChatGPTを用いて行った質問が、皮肉にも「野党不要」を証明してしまったと指摘。その納得の理由を的確かつ明快に説明しています。
ChatGPTを使った質問を行った政治家の証明した「野党不要」
3月29日の衆院内閣委員会で、立憲民主党の中谷一馬氏が人工知能(AI)を用いた対話型の自動応答ソフト「ChatGPT」で作成した質問を、岸田文雄首相に問うということがあり、それがニュースで報道されました。
中谷氏は、審議中の新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案について、「衆院議員だったら首相にどのような質問をすべきか」とChatGPTに「質問案」作成を依頼下としています。
これに対してChatGPTが作成した質問はこのような内容でした。
地方自治体や医療現場の関係者の意見を十分に反映させているのかどうか。そして、改正法案に対する関係者の反応について教えてください。
首相は「今回の法案は(関係者の)意見、要望に十分応えている改正になっている」などと答えたのです。
中谷氏は続いてChatGPTが作成した首相の「答弁案」も披露しました。
「(同法改正案は)地方自治体や医療現場の関係者の意見を十分に反映させるように努めている」などとする内容で、中谷氏は「首相の答弁より誠実でピントが合っているかもしれない」と指摘しました。
これに対し、首相が「(自らの方が)より具体的に関係者の名前などを挙げている」などと反論しています。
さてこの国会質疑、皆さんはいかがお考えでしょうか。様々な意見があると思います。
私は「野党の皆さんが(この議員だけかもしれませんが)野党という存在は必要がない」ということを証明(というか暴露ですが)してしまったような感じがしてならないのです。
AIが発達することによって将来はなくなる職業、という特集がしばらく前にありました。
「過去のデータに基づく」「知識があれば大丈夫」「オリジナルな創造性や対応が必要ない」というような仕事がたくさん出てきた記憶があると思います。
例えば、経理部の仕事や、医者なども、データを見るだけで薬を処方するならば必要ないし、また、手術もAIというか、ロボットで対応可能なのではないかというように言われています。
その中に「政治家」というのはなかったような気がします。
しかし、AIで野党側の質問ができてしまい、そのうえ、広く国民の声が網羅されている質問ができるのであれば、野党という存在は必要なく、政権だけ選んで、AIがその真偽を行えばよいのではないでしょうか。
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