習近平を完全に怒らせた岸田文雄。石垣島の現地ルポで判明、陸自駐屯地設置で沖縄は標的になる

2023.04.05
 

石垣島が「武装された島」になった日

こうした中、岸田首相がやり遂げたのが防衛力の強化(防衛費増額)である。その顕著な例が、沖縄の石垣島(沖縄県石垣市)に初めて陸上自衛隊の駐屯地が設置されたことだ。

陸上自衛隊石垣駐屯地の正面ゲート 筆者撮影

陸上自衛隊石垣駐屯地の正面ゲート 筆者撮影

もちろん、設置計画自体は、2016年、与那国島に駐屯地が設置された頃からあった話だが、石垣駐屯地が完成し正式に稼働し始めたのが3月16日、弾薬等が搬入されたのがその翌々日の朝であった。

3月18日早朝、石垣市南ぬ浜の旅客船ターミナル。接岸した自衛隊の輸送艦から、地対艦ミサイルや多目的誘導弾などが入っていると見られる車両が次々と陸揚げされた。その数は約20台。

反対派の市民から「石垣に武器は要らない」といった怒号が浴びせられる中、車列は石垣市の中心部を通り、駐屯地の中へと運び込まれた。

石垣港から市街地を通り駐屯地へ向かう自衛隊車両 筆者撮影

石垣港から市街地を通り駐屯地へ向かう自衛隊車両 筆者撮影

台湾までの距離が直線で約260キロと、那覇との距離410キロより近い位置にある石垣島は、この日、武装した島になった。

住民投票を呼び掛けてきた花谷史郎石垣市議は語る。

「石垣市の住民がどう考えるのか示されない中で駐屯地が作られてしまいました。駐屯地内では、まだ工事が続いているのに、弾薬まで搬入されたことを思うと、かつて『基本的に容認』と言ってしまった石垣市の姿勢は軽率だったというほかありません」

駐屯地設置と反撃能力ミサイルで賛否が割れる石垣市議会 筆者撮影

駐屯地設置と反撃能力ミサイルで賛否が割れる石垣市議会 筆者撮影

とはいえ、石垣島に駐屯地が設置されたことは、先島諸島の防衛空白地帯が解消され、自衛隊の南西シフトがほぼ完結したことを意味する。

「中国の動きを思えば、駐屯地の設置はむしろ遅すぎたくらい」

地元メディア、八重山日報の仲新城誠論説主幹はこう語るが、筆者もこの考え方には同感である。

あのプーチンを舎弟にした習近平

石垣駐屯地が設置される前の3月13日、中国では全人代が閉幕した。中国の国会に当たる全人代は、習近平総書記が国家主席としても3選を果たし、政府の中枢を李強首相や丁薛祥副首相といった側近で固める式典とも言うべきものとなった。

しかも、次のトップへの登竜門とされる国家副主席ポストには、すでに「一丁上がり」と目されてきた韓正氏を起用した。このことは、習氏が2027年の次期共産党大会で4選を果たすために、後継者を作らなかったことを意味している。

去年10月の共産党大会で独裁体制を強固なものにした習氏は、今度は全人代での政府人事で、台湾侵攻をはじめ何でもできる体制を作り上げたことになる。

加えて言えば、前述した中ロ首脳会談だ。3月20日から21日にかけて行われた中ロ首脳会談では、プーチン大統領との蜜月関係を国際社会にアピールすることに成功した。

より正確に言うなら、ウクライナ戦争の長期化で疲弊しているプーチン氏に、「俺がついているぞ」と手を差し伸べることによって、欧米諸国に、自身の影響力の大きさを見せつけたのである。

外交面では、サウジアラビアとイランとの国交正常化を仲介したこと、台湾を国際社会から干上がらせるため中米ホンジュラスと国交を樹立させたことは記憶に新しいが、中ロ首脳会談では、「プーチン氏を支持する」と語ることで貸しを作り、今後も北の独裁者を舎弟扱いできる道筋を作ったとも言えるだろう。

print
いま読まれてます

  • 習近平を完全に怒らせた岸田文雄。石垣島の現地ルポで判明、陸自駐屯地設置で沖縄は標的になる
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け