プーチンが絞めた自らの首。NATO拡大への逆ギレで日本が核攻撃の標的になる日

2023.04.09
 

日本を核攻撃のターゲットに加えるプーチン

一方、今後の国際安全保障を考えれば、これは日本にとっても対岸の火事ではない。岸田総理は昨年、日本の総理としては初めてNATO首脳会合に参加し、英国やフランス、ドイツなど欧州諸国のインド太平洋への関与を呼び掛けた。インド太平洋で米国が持つハブアンドスポーク型の安全保障体制とNATOが接近することは、それに挟まれる中国やロシアが反発することは間違いないが、今後も大国間の対立が続くのであれば、インド太平洋と北大西洋にある米国主導の軍事同盟が融合する可能性もあろう。

仮に、それら2つが融合した集団防衛体制ができれば、ロシアが日本に対して軍事的威嚇を強めてくることは間違いない。北方領土の返還などは夢物語となり、ロシア軍が北方領土を軍事拠点化し、北海道の安全保障が現実的に脅かされるかも知れない。

しかし、集団防衛体制が構築されなくても、日本が独自でNATOへの接近を積極的に進めれば、ロシアは窮地に立てば立つほど理性を失い、日本を核攻撃の対象の1つに位置付けるだろう。追い詰められたロシアが何をするか分からず、核の使用も依然として排除できない。

今後、ウクライナ問題を発端に第3次世界大戦が勃発すれば、日本もそれに巻き込まれることになる。そうなれば、エネルギーや食糧を海外に依存する日本が被る被害は計り知れず、さらなる物価高によって我々の日常生活はさらに圧迫され、最悪食糧難や栄養失調などに陥ることだろう。フィンランドのNATO加盟、これは同国によっては良いことだろうが、全体的な状況はむしろ悪化しており、日本のNATO接近は却って戦争に巻き込まれるリスクを皮肉にも高めているのだ。

image by: Sebastian Castelier / Shutterstock.com

アッズーリ

専門分野は政治思想、国際政治経済、安全保障、国際文化など。現在は様々な国際、社会問題を専門とし、大学などで教え、過去には外務省や国連機関でも経験がある。

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