プーチンが絞めた自らの首。NATO拡大への逆ギレで日本が核攻撃の標的になる日

2023.04.09
Yerevan,,Armenia,-,April,24,,2015:,Russian,President,Vladimir,Putin
 

世界中から上がる非難の声にも聞く耳を持たずウクライナでの殺戮行為を続け、ますます孤立を深めるプーチン大統領。今月4日にはロシアと長く国境を接するフィンランドがNATO加盟を果たしましたが、世界にはこの先、どのような未来が待ち受けているのでしょうか。外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、ロシアによるベラルーシへの戦術核配備が国際社会に何をもたらすかについて考察。さらに日本のNATOへの接近が、却って戦争に巻き込まれるリスクを高める理由を解説しています。

フィンランドがNATOに正式加盟、ロシアはベラルーシへ「戦術核」配備。今後考えられる日本への影響は?

4月4日は北大西洋条約機構(NATO)にとって特別の日となった。ブリュッセルのNATO本部にフィンランドの新たな国旗が掲げられ、これでNATO加盟国が31か国になった。フィンランドのニーニスト大統領は我が国にとって歴史的な特別の日になったと表明し、今後NATO諸国と防衛や安全保障面での協力を緊密化させていくことになった。

ロシアと1,300キロに渡って国境を接するフィンランドは、これまでNATOの東方拡大を強く警戒するロシアの思惑を考慮し、NATOには加盟せず軍事的中立の立場を堅持してきた。ウクライナ侵攻以前、欧米とロシアの間にはNATOの東方拡大や戦略兵器配備など安全保障上の問題はあったものの、フィンランドはNATO加盟によってロシアを刺激し、自国の安全保障が返って脅かされることへの警戒感があった。しかし、ロシアがウクライナへ侵攻したことで状況は一変し、フィンランドは侵攻から3か月となる昨年5月、NATO加盟に向け正式に申請を行った。

申請してから1年足らずでの早期加盟となったが、これはNATOの歴史で最も早いとされる。フィンランドは今年2月、ロシアとの国境地帯にフェンスを建設する工事に着手した。今後3年から4年かけてフィンランド南東部を中心に全長200キロメートルに及ぶフェンス建設が完了するという。NATO諸国もフィンランドの正式加盟を強く歓迎し、異例のスピードでの加盟についてNATOは直面する脅威に一致団結して結束できることが証明されたと、今後ロシアに対して強い姿勢で対抗していく意気込みを示した。

自らの首を自らで絞める結果となったプーチンの皮肉

これについて、ロシアは当然のように強く反発している。ロシアのペスコフ大統領報道官は、ロシアの安全保障と国益を脅かすもので対抗措置を取ると反発し、ロシア外務省は、フィンランドは数十年にわたり国際情勢の中で堅持してきた軍事的中立を放棄したと強く非難した。

今後はもう1つのNATO加盟申請国、スウェーデンの動向が注目されるが、NATOの東方拡大に不満を抱くプーチン大統領にとっては、1,300キロも隣り合うフィンランドの加盟に強く神経を尖らせていることだろう。領土保全、領土の一体性という立場からみると、これまでロシアと隣接するNATO圏はカリーニングラードを除いて、バルト三国のラトビアとエストニア、ノルウェーのみだったが、隣接距離はフィンランドと比較すれば極めて短い。そのフィンランドがNATO圏に入ったという現実は、NATOの東方拡大を抑える強い意志を持ってきたプーチン大統領にとっては極めて皮肉なものだ。

プーチン大統領はウクライナ侵攻の目的を親ロシア派住民の保護と強調しているが、東方拡大を続けるNATO諸国を改めてけん制する思惑もあったとみられるが、フィンランドのNATO加盟によってプーチン大統領は自らの首を自らで絞める結果となった。ロシアは同盟国ベラルーシへ戦術核を配備することを既に発表しており、今後東欧地域を舞台にした睨み合いは一層激しくなるだろう。

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