同じ穴のムジナ。TV局だけにジャニーズ性加害問題を押し付けたい無責任な人々

 

大きな社会問題となった「保毛尾田保毛男」

私も例外ではありません。こういう裁判があったことさえ、知りませんでした。いや、知ろうとさえしなかった。反省しているし、恥ずかしいです。

性被害の問題から「私」が抜け落ちているのは、テレビ業界だけの問題じゃないのです。社会の、「私」の問題でもあり、それに「私」が気づかない限り、被害はなくなりません。半径3メートル世界にも人知れず、苦しんでる人がいるかもしれないのです。

そもそも今回の事態のきっかけは、いや、きっかけ“も”、海外発でした。3月にBBCが喜多川氏の性的虐待を取り上げた1時間のドキュメンタリー番組を放映したのです。なぜ、BBCは海の向こうの性的虐待を取りあげたのか?「社会の関心テーマ」だったからです。

時にテレビは世論を作り出す“装置”になりますが、大抵は「社会が求めてること」「社会の関心の高い問題」を取り上げるメディアです。むろん「社会の人が知らないでも、知るべきこと」を取り上げることもあります。それでもそこから「社会の目」が消えることはありません。社会のまなざしがテレビを変えていくのです。

6年前の2017年10月、フジテレビで放送された「とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP」の番組内コーナーで、とんねるずの石橋貴明さん扮するゲイのキャラクター「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」が登場し、侮蔑語である「ホモ」を連発。ゲイを笑い者にしたネタを連発しました。

これは大きな社会問題になった。テレビ番組に、社会が「ノー」の声をあげたからです。見ていた人が「不愉快」だった。だから問題になった。以来、テレビからLGBT問題を茶化す動きはなくなりました。それまでテレビで頻繁に使われていた“おかま”という言葉も消えました。

つまるところ、問題は性的虐待だけではない。ほんの数年前まで、日本社会は、性被害はもとより、セクハラ、パワハラを許容してきた。それは当事者意識のなさであり、自分とは違う世界の出来事という無責任さが、被害を生む。その現実に「私」はどう向き合うか?

LGBT法案もパワハラ法案も、最後まで「禁止」の2文字が入らなかった。これも政治だけの問題じゃない。社会の問題でもあるのではないでしょうか。

「知らない」ということ、無知であること、「知ろう」としないこと、無知を認めないこと。それがいかに刃となるか。そのことに1人でも多くの人が気づいて欲しいと心から思います。

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