『鬼滅の刃』の“鬼”と同じ。統一教会が献金被害者たちに向ける「攻撃性の刃」

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東京都下に約2,000の土地を購入したことが大きく報じられ、またも注目を集めている旧統一教会。そんな教団に対して進んでいると見られる解散命令請求の動きですが、現在の宗教法人法には「致命的な不備」があるようです。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さんが、同法に財産保全の規定がないため、特別措置法の成立に向けての議論が必要と指摘。さらに旧統一教会と対峙する者として、『鬼滅の刃』を見るたび引き込まれる理由を記しています。

『鬼滅の刃』の鬼そのもの。統一教会が被害者に向ける苛烈な誹謗中傷

統一教会はかならず資産を隠す。宗教法人法の不備

文化庁による旧統一教会への解散命令請求は着々と進んでいると見ていますが、実際に裁判が行われて解散命令が確定するまでには、かなりの時間がかかります。過去に解散命令を受けた「明覚寺」の事例をみても、最終的に最高裁で特別抗告が棄却されるまで約3年を要しています。

教団はこの裁判に対して徹底的に戦うでしょうから、最高裁までもつれるものと考えています。弁護士によると、高裁(高等裁判所)の判決が出た時点で、解散命令の効力が発せられるということです。

次の問題はその時に、教団内に財産が残っているかどうかです。

全国霊感商法対策弁護士連合会は「旧統一教会には国内外に、多数の関連組織や個人が存在しており、その財産を移動・隠匿させることは容易であり、一度散逸させてしまえば、その十全な回復は困難」と指摘するように、教団は様々な形で資産を隠すことが考えられているにもかかわらず、現在の宗教法人法には、他の法律にあるはずの財産保全の規定がないといいます。

「会社法などでは、法人を解散させる規定のある法律には、財産保全の規定があります。宗教法人法にはその規定がない」「これは立法上の不備といえます」と、先日行われた国対ヒアリングにて、阿部正臣弁護士が述べており、今、特別措置法の成立に向けての議論が必要な時を迎えています。

詐欺や悪徳商法業者の常套手段を行いかねない統一教会

これまで詐欺や悪質商法をみてきてわかるのは、知能犯らは、だましとったお金の行方を、いかにしてわからなくさせるかを同時に考えるということです。それは被害事実が発覚しても、そのお金を容易に取り戻せないようにするためです。

ご存じのように振り込め詐欺では、詐欺グループの指示役の指示を受けて、高齢者宅に赴いた「受け子」がだまし取ったお金を、トイレなどで対面せずに、別な運搬役に渡して、さらにその人物も別な運搬役に渡します。末端の人物らにお金を手渡しさせながら、お金をたどれないようにします。

こうした財産隠しや散逸は、詐欺だけでなく悪質業者の常とう手段でもあります。

お金を不法に手にして、それが取られそうになると、いかに隠して自分たちのものにするかを最優先で考えるわけですが、それを公益法人である宗教団体がしたとしたら、大変な問題になります。

しかし旧統一教会においては、これまでの経緯から、信者の資産として隠す、海外に送金する、教団の関連会社に財産を移すなどを行ってくる可能性は、充分にありえますので、それを防ぐためにも「特定宗教法人の財産保全に関する特別措置法」の成立が求められます。

すでに1件でも不法行為で集めたと疑われるお金の流れをわからなくさせる行為をしていたら、もはや公益性のある宗教法人として存在してはならないとも考えています。

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