「一般の共通認識」が通じぬ教育機関
いじめの隠ぺい、学校の事故の隠ぺいなど教育機関が行う隠ぺいは様々だが、率直に思うのは、隠ぺいは「ついうっかり―」のレベルではない故意によるものだ。やろうとおもってやる、何もなかった、特に問題ないのに親と被害者が騒いでいるんですとしたいなど目的があってやっていることだ。
こういう者は、実行者と指示した者など全員処分していいのではないかと思うのだ。少なからず、不正であろう。公務員ならば、あるまじき行為であろうし、これが処分対象にならないという意味もわからないし身内に甘過ぎはしないかと思うのだ。文書偽造は重大な違法行為であるというのが一般の共通認識のはずだ。
ただこういうことを書くと、一部の支援団体と御用側のお歴々、そこに忖度する文教族と文教族になりたい大先生方とゴマをすらないとネタすら取れない物書きの方々から大批判を受けるのだ。実際、私は一緒に活動したことがある団体の長が、被害者支援から被害側攻撃へと変節していく様子を垣間見た。権力にすり寄り補助金や助成金、団体の地位を得るためには仕方がないのだそうだが、敢えて言う。
事実を目的のために捻じ曲げ隠蔽という不正を働いたものやそれを指示した者は、処罰の対象となるのは当然の話であり、これを自らの地位や利害のために見なかったことにするのは、ほぼ同罪である。
ただし、いじめ防止対策推進法には処罰規定がない。私はこの立法に関わった専門家に話を聞いたことが何度もあるが、そのときみな口を揃えていったのだ。
「こんなに腐っているとは思わなかった」
想定外に腐っていたことがわかったのが今なのだ。
いじめ防止対策推進法から10年の今、もういいんじゃないか。もっと厳しく襟を正さなければならぬ真の法律に改正させても。
■お知らせ
いじめ被害者の方、その保護者の方々で同様の隠ぺいがあったという方は、共通項についてこれから特集を行いますので、ぜひ、阿部までご連絡を頂ければ幸いです。
他の事件でも隠蔽を主導していた神戸市教委
「神戸市18年間いじめ隠ぺい事件」はいじめ事件史の中でも極めて凶悪かつ組織の闇がある事件だと思います。
確かに教育委員会制度や全国にある教育委員会の中には真っ当にこどもたちのためのみならず、地域の教育や文化などをしっかり守っているところもたくさんあることは、私はよく知っています。そして、しっかり真っ当な人たちが、こうした闇ばかりの組織をみて、同じにしないで欲しいと思うのもよくわかります。
もちろん、同じではありません。ですから、こうした事件の際はできる限り私はまともなところもあるのにと付け加えています。
さて、神戸市18年間いじめ隠ぺい事件では第三者委員会によっても「隠ぺいの事実」が強く指摘されました。実は神戸市においては他の事件でも教育委員会は隠ぺいを主導していることが新聞報道などでも明らかになっています。垂水の「先生も腹くくってください」事件です。いじめ重大事態や第三者委員会がいくつも設置されて、教育行政側が隠ぺいをしている様子がよく報じられる地域であることはニュースを収集して分析していても明らかです。
しかし、同様に隠ぺいが起きている地域は多くあり、確かに共通している隠ぺい手法があります。今回取り上げた5つの代表的隠ぺい手法はまさにその典型です。
肌感覚では確信があっても、バラバラに報じられるもので数を数えて集計しても、完全なる共通項だとするには、専門的な調査と統計と言えるところまでエビデンスを揃える必要があります。ですので、この隠蔽共通項については特集として取り扱い、本誌を通じて、広く事例を取材し、実地検証することにしました。
確かに私は取材や調査などを通じ、隠蔽被害の当事者をたくさん知っていますが、まだ知らない事例もあります。もしもあなたが当事者である場合や、同様の隠ぺいを1つでも受けた場合は私までお知らせください。
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image by: 伝説の探偵