発見された「なかったはず」のダンボール4箱分の資料
さて、隠ぺいの手口が明らかになったキッカケは驚くべきことであった。第三者委員会の設置からこれまで何もないと言っていた資料が段ボールにして4箱分も出てきたのだ。
何も無いはずが、段ボール4箱分の資料とはあまりに驚きである。
神戸市18年間いじめ隠蔽事件で使われた5つの代表的な手口
神戸市18年間いじめ隠ぺい事件では、下記のような代表的な隠ぺい手口が使われた。
- 重要な証拠は不存在と言って隠す
- 自分たちの都合の良い虚構のストーリーを作りあたかも事実のように偽の証拠を作成する
- 被害者の保護者をモンスターペアレンツだとして孤立させる
- 情報公開請求をしても都合の悪いところをマスキングする
- 謝罪のフリをして、被害側に謝罪しない。終わったことにする
例えば、いじめで酷い状態になると、被害者本人は、少なからず、これを話すということに強いストレスがかかる。一緒に過ごす親であれば、その状態がいつもの我が子とは明らかにわかるわけだから、見ず知らずの大人が聞き取りをするという段で、安全配慮を求めるのであるが、隠ぺいをする市教育委員会などは、一切の配慮をしないのだ。
これは学校も同じで、目の前でいじめ行為があり、それを目撃していたのに、助けもせず放置してその場を去ったような教師が改めて被害者本人に聞き取りをしたいと言っても、被害者はその教師を信用できないと思うだろう。
通常そうした場合は、その教師ではなく比較的信頼がある教員を聞き役にしたり、保護者の同席を許可するなどして話を聞いていくための対応を積極的に行うものだが、そのつもりがない学校は、配慮はしないで説得を試みるのだ。
そうして下記のようなロジックで、いじめが無いということにしてしまう。
被害者の保護者がこどもへの聞き取りを拒否している→本人に聞き取りができず調査ができない。→いじめが確認できない 結果、「いじめが無い」とする。
目立つ部分に「不存在」と書かれた資料
さて、隠ぺいの手口を詳しく見ていこう。
1.重要な証拠は不存在にしてしまう
神戸市18年間いじめ隠ぺい事件では、無いはずの資料が段ボール4箱分も出てきたのは前述の通りだが、被害保護者はとんでもない記載を見つけてしまうのだ。
「不存在」確かに資料の上部に目立つようにそう書かれている。
つまりこの資料は不存在という指示なのだろう。仮に開示請求をされても「当該の資料は存在しません」と行って開示しなければいいのだ。
こうした「不存在」手口で、4箱分隠したのであれば、隠ぺいのために職員は動いたということになる。
2.3.自分たちの都合の良い虚構のストーリーを作りあたかも事実のように偽の証拠を作成し、被害保護者をモンペに仕立てる
隠蔽をする教育委員会は、自分たちに都合の良いいじめなんてありませんでしたというストーリーを作るものだ、そして、あまりに酷いところでは、その虚構のストーリーを構成する証拠すらも偽造してしまう。
市教委作成の資料では、被害者の母親が勝手に作文を学年集会で読んだと記載しているが、実際は休んでいる被害児童の代わりにみんなに宛てた手紙を母親が代読したのであり、これは許可があってやったことなのだ。学校作成の報告では、良き学びになったと評価されている。
つまり、市教委は学校報告を受けつつ、これでは都合が悪いと考え虚構のストーリーを作り、被害保護者がルールを守れない感情的な人なんだと印象つけようとしたわけだ。
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