自民党「清和会支配」の終焉。有田芳生氏が語る、特捜部の“顔ぶれ”に見る本気度

 

一連の告発を受けて東京地検が、安倍派の会計責任者、議員秘書を任意で事情聴取。その経過で誰にいくらの裏金を渡したかを記したリストを入手。国会が閉じた翌日の14日から議員本人からの事情聴取を行う方向だった。しかし新大臣の認証式もあり、予定は変更された。18日以降に動きがあるだろう。※編集部註:19日午前に安倍派、二階派に強制捜査が入った

東京地検特捜部は本気だ。こんどの安倍派に狙いを定めた検察捜査の決裁をするトップは甲斐行夫検事総長だ。証拠が揃えば相手が誰であれ起訴することで知られている。安倍派であろうが岸田派であろうが躊躇はない。

捜査の指揮を取っていると見られるのは、森本宏最高検刑事部長だ。東京地検特捜部長のときには、河井克行、案里議員、秋元司議員を逮捕、起訴している。森本最高検刑事部長は、林真琴最高検前総長の直系だ。林氏は私が法務委員会に所属していたときに、法務省刑事部長などを歴任、冷静な答弁は重厚だった。飄々とした黒川弘務東京高検検事長とは一味違い人格的にも論理に固められたスタイルだ。森本特捜部長の後任が新河隆志東京地検次席検事で、吉川貴盛元農水省の収賄事件や公明党の遠山清彦議員の貸金業法違反事件を担当した。

安倍政権が黒川東京高検検事長の定年を延長し、検事総長に就任させようとしたことに、世論も検察OBも批判を強め、黒川賭け麻雀スキャンダルも発覚し、結局は実現できなかった。安倍晋三政権は「一強」政治の勢いで司法にまで権力行使の手を伸ばしていたのだ。この経過をおさえておけば、現在の問題は「政治権力(安倍派支配)」VS「検察」なのである。2023年末の政界激震は24年まで続く。

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ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。1995年から2007年まで、日本テレビ「ザ・ワイド」に12年間レギュラー出演。2010年には民主党から立候補、参議院議員となり、北朝鮮拉致問題、差別、ヘイトスピーチ問題などに取り組む。「北朝鮮 拉致問題 極秘文書から見える真実」(集英社新書)、「改訂新版 統一教会とは何か」(大月書店)など、著書多数。

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