岸田首相は頭の中で飼っているスズムシの声でも聞いているのか
百歩ゆずって、これが新聞やテレビなど民間の世論調査であれば「世論と政府とのギャップ」と理解することもできます。しかし、岸田首相は「内閣総理大臣」なのですよ?内閣総理大臣が自分の内閣の世論調査の結果を完全に無視し、すでに苦しみ続けている大多数の国民をさらに苦しめるような要請をするなんて、開いた口からエクトプラズムが流れ出て幽体離脱しちゃいそうです!
岸田首相は安倍晋三元首相に「右へ倣え」したのか、首相就任以来、大企業への賃上げ要請という越権行為を続けて来ました。そして、自民党のスポンサー企業で構成される経団連も、その要請に応える形で大企業の賃上げを続けて来ました。しかし、その実態を見ると、自社の賃上げをした一方で、下請けの中小企業に「製品の値引き」を強要するなど、立場の有利性を悪用した「中小企業いじめ」が拡大したことも事実なのです。
全国の労働者の7割以上は中小零細企業などで働く「弱い立場の労働者」ですが、大企業への賃上げ要請という自民党政権の越権行為が、間接的に「中小企業いじめ」に加担しているのです。そして、内閣府の世論調査で「経済的なゆとりと見通しが持てない」との回答が6割を超える結果へとつながっているのです。
政府が越権行為として大企業に何かを要請するのであれば、本来は「自社の賃上げ」ではなく「下請けの中小企業の製品の買取価格の引き上げ」であるべきです。そうすれば全国の7割を超える「弱い立場の労働者」の賃上げが進み、日本の経済は足元から回復して来るからです。内閣府の世論調査の結果を見れば、こんなこと小学生でも分かるはずなのに、どうして岸田首相は逆のことばかりするのでしょうか?
東京商工リサーチが発表した今年1月の負債額1,000万円以上の全国企業倒産は、前年同月比23.0%増の701件でした。しかし、大企業の倒産はゼロで、この701件すべてが中小企業だったのです。さらには、この701件のほぼすべてが「原材料や人件費の高騰」を倒産理由に挙げているのです。この事実ひとつを見ても、今のタイミングで全国の中小零細企業に賃上げを要請した岸田首相は「現状が何も分かっていない」ということが明らかだと思います。
岸田首相が自分の特技だと自慢する「聞く力」って、一体何を聞いているのでしょうか?もしかして、自分の頭の中で飼っているスズムシの声でも聞いているのでしょうか?まだ春だというのに…。
(『きっこのメルマガ』2024年3月27日号より一部抜粋・文中敬称略)
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