人気アイドルグループがみんな「同じ顔」に見える本当の理由
ところで、アイドルのグループ化には他にもメリットがあります。
アイドルは、一人で売り出すより、集合体にしたほうが、メンバー全員が輝いて見える効果があるからです。
これは「チアリーダー効果」と呼ばれる「認知バイアス」による現象です。
一人よりも集団でいるほうが個々の人物を魅力的に映らせるからなのです。不思議な集団効果が生まれます。
人間の脳は、個々の顔を集合させると、個々の顔を平均化するのです。
すると個々が魅力的に輝いて映るのです(アンサンブル知覚による平均への回帰)。一人で映るよりも集団の中に入ったほうが、より魅力的に修正されるという不思議な効果があるのです。
実はコンピューターで人の顔を平均化すると、美男・美女が生まれることは、よく知られています。
平均値を求めると、平均よりもレベルの低い顔を平均値に補正し、平均レベルよりも上の顔は、平均値に近づけ──というわけなのです。これが「平均への回帰」という現象です。
なお、若くて魅力的な女性の存在が男性を勇気づける効果も心理学では「チアリーダー効果」と呼ばれます(異なる若い異性の存在で性欲を亢進させる「クーリッジ効果」というのもある)。
また、顔の一部が隠れていると脳は上質に補正してくれます。
歌いながら、ダンスで動き回ることで、表情を様々な角度からアピールする効果も生まれるわけです。
もしかすると、昔の単独での歌謡曲歌手は、ダンスがない分、歌唱の間中、ずっとスポットライトを浴びることで、かえってファンを飽きさせていたのかもしれません。
ゆえに、読者の皆様も、SNSで異性を募集したり、見合い用に使う自分の写真の場合は、友人たちと一緒に撮った写真や、やや横を向き、ほんの少し顔を隠したものなどがよいわけです。
いかがでしょう。人間の「認知バイアス」の機能を刺激すると、面白い現象や効果が現われます。それが本能に植え付けられた脳のクセだからなのです。ぜひ、「認知バイアス」の傾向と対策を知ることで、賢い世渡り術に生かして頂ければと思います。(本記事はメルマガ4/22号の抜粋です。ご興味をお持ちの方は初月無料のお試し購読をどうぞ。4月分の記事をすべてお楽しみいただけます)
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