ウクライナ戦争でロシア軍が北朝鮮製ミサイル使用。なぜ日本メーカーの「偽部品」が使われていたのか?

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国連安保理決議に基づき、厳しい制裁が課されている北朝鮮。しかし実際には制裁逃れが日常茶飯事と化し、今後もエスカレートすることは確実のようです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では國學院大學栃木短期大学兼任講師の宮塚寿美子さんが、横行する制裁逃れの現状と、ロシア軍がウクライナで用いた北朝鮮製ミサイルに日本メーカーの部品が使われていたことを報じるニュースを紹介。さらに自国製の武器が戦場で使用されることにより北朝鮮が得るメリットを解説しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:北朝鮮、制裁逃れで暗躍。北朝鮮製ミサイルをロシアが使用

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2024年5月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

北朝鮮、制裁逃れで暗躍。北朝鮮製ミサイルをロシアが使用

2024年5月1日、日本やアメリカなど49か国とEU=ヨーロッパ連合が5月1日に共同声明を出し、制裁逃れを監視する新たな枠組みをつくるため各国と連携していくと表明した。国連安保理の専門家パネルは、北朝鮮に対する制裁の実施状況を15年間調査してきたが、任期を延長する決議案がロシアの拒否権によって否決され、4月末で活動を停止したのである。

しかし、この声明を受けて北朝鮮のキム・ソン国連大使は5月5日、国営の朝鮮中央通信を通じて以下のような声明を発表した。声明では「わが国に対する敵視政策の失敗を深く反省すべきだ」と主張したうえで、制裁逃れを監視するための新たな枠組みを目指すとした共同声明に対しては、「アメリカと追従勢力が時代錯誤な敵視政策を追い求めるならば、より悲惨な敗北を迎える」と反発したのである。

北朝鮮の制裁逃れは今後増々エスカレートするだろう。ロシアがウクライナへの全面侵攻を始めて2年余り。戦闘が長期化するなか、ロシアは武器不足を補うため、北朝鮮やイランといった数少ない「友好国」との結びつきを強めている。実際に、昨年2023年末以降、少なくとも50発の北朝鮮製ミサイルが使用された。ウクライナ側は「日本も無関係ではない」と警鐘を鳴らす。

2024年5月5日付の朝日新聞によると、ウクライナ侵攻でロシアが発射した北朝鮮製ミサイルの部品に、日本の大手メーカーの「偽物」が使われていた可能性が高く、複数の欧州メーカーの模倣品も使われていたそうだ。専門家によると、このような「偽物」や模倣品がミサイルの精度の低さに影響していることを指摘している。

北朝鮮が日本のベアリングなど精密機械を違法で輸入し、軍艦やミサイルなどに使用していることは既知である。それだけ、北朝鮮は国産には限界があり、外国製部品に頼らざるを得ないのが実態であることも示される。制裁逃れに歯止めがきかないなかで、あえて「偽物」を混ぜ込むことで、北朝鮮のミサイル開発への対抗手段の一つになるかもしれない見方もできる。

いずれにしても、北朝鮮は他国で自国製のミサイルなどの兵器が使われることで、西側への対抗措置や性能テストをすることによって、データ収集をすることができる。これこそが、北朝鮮の最大の目的でもあり、利益になるのである。

(國學院大學栃木短期大學兼任講師 宮塚寿美子)

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