高市氏が“自民の顔”になるなら野党に勝機あり
高市氏が自民党の総選挙の“顔”になるとしたら、野党としてはどうだろうか。攻めやすくなるのは間違いない。進次郎氏は政治的な能力こそ全くの未知数だが、刷新イメージはなんとなく漂っていて、その茫漠感が野党にとって最大の脅威だった。高市氏だと若さや鮮度は薄れ、野党は、裏金にまみれた安倍派の傀儡として徹底的に攻撃を仕掛けるだろう。
もっとも、そんなことは自民党国会議員なら先刻承知のはず。最終的には自分の選挙に有利な総裁を選ぶことになるのだろうが、現時点では、進次郎氏の危うさの方が目について仕方がないようだ。
自民党裏選対の「総裁選ショー」プロデューサーが、古い政治に倦んだ人心を背景に、候補者個々人の資質などを無視してシナリオを構想していたうちは、イメージ先行の小泉旋風が巻き起こりそうな幻想に自民党関係の誰もが浸っていられた。だが、候補者討論などコップの中の争いになってからは、政策通のベテランの知識量やディベート能力に心が奪われ、鑑識眼が定まらなくなっているのではないだろうか。
おりから、朝日新聞が17日の朝刊1面、2面の大半を割いて、特ダネ写真と記事を掲載した。13年6月の参院選公示の4日前、自民党本部総裁室で、当時の安倍晋三首相が、統一教会の徳野英治会長や関連団体のトップらと面談している写真3枚だ。自民党の参院比例候補を教団が支援することに関する会談だったとみられている。
自民党は「教団との組織的な関係はない」と言い張るが、参院選直前のタイミングといい、安倍首相による総裁室での丁重な応対ぶりといい、特別な間柄であったことは否定のしようがない。特定の宗教団体に集票を頼んで、かわりに“特権”を与えてきた証拠写真ともいえるものであり、総裁選の候補者はそれをどう受けとめるか、再調査についてどう考えるかを明らかにしなければならない。
ともあれ、新総裁に誰がなろうと、長期政権がつくりあげた自民党の腐敗体質は変りそうにない。見せかけの派閥解消ではなく、いったん解党して出直すのが本来あるべき姿だろうが、そんな声がつゆほども上がらないのもまた、自民党なのである。
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image by: 小泉進次郎Facebook | 高市早苗Instagram









