【3日目】5月17日 19:40
この日の夜には、さらにこんな記事が登場した。
《「女系天皇」読売は昨年から主張していた 渡邉恒雄氏の「遺言」と考えるとつじつまが合う》
お、お、おう。
これって……「面妖な季節外れの怪談」ってやつなのか!?
朝一番にネタ振りをしておいて、夜にはみずから面妖なつじつま合わせをぶっ込んでくる産経新聞。すごい技を繰り出してくるものだ。
「つじつまが合う」って、いくらネット記事でも、およそ新聞社が見出しで使う言葉とは思えない。取材に基づいた事実や論理整合性ではなく、「僕たちびっくりしちゃったけど、ナベツネの遺言なんだと思えば、納得できる気がする」という推理の開陳である。
で、どんなつじつま合わせなのか。
問題はこの内容を、なぜ「大読売新聞」が堂々と掲載したかだ。
やたらと読売を恐れ、そう疑問を持った産経記者が調査してみると、実は、読売新聞が、ほぼ1年前の5月19日に今回の提言とほぼ同内容の社説を掲載していたという事実に突き当たったという。
そして記者は、その時点では読売新聞の主筆だった「ナベツネ」こと渡邉恒雄がまだ存命だったことに気づいてピンとくる。
皇室に関わるような社説について主筆である渡辺氏が関係していなかったとは考えにくい。
そして記者は、ナベツネの人生を振り返り、思うのだ。
渡辺氏は東京帝国大学在学中、学徒動員で戦地に赴き、上官からの暴力などで相当に嫌な思いをしたことなどをインタビューなどで語っている。また、軍国主義、国家主義的な考えに反発して戦後の一時期、日本共産党の党員だったことも明かしている。
え。産経記者、戦後の一時期、若きナベツネが共産党に入党していた時期があったというだけの話から、
「ナベツネ=共産党」=「読売新聞=共産党」=「皇統断絶に導く!」
というつじつま合わせに成功したらしい……。
だが、それを言うなら、産経新聞も過去には読売とまったく同じ「男女がともに女性天皇への道を開くのは当然である」という主張を社説で述べていたことがあるし、だいたい、フジサンケイグループを創設して、大阪の小さな産業新聞だった御社を、全国紙「産経新聞」にした初代社長の水野成夫は、もともと共産党の「赤旗」初代編集長だった人なんですが???
大丈夫か、産経記者ー!!(次ページに続く)