イスラエルを突き動かす「神に与えられた土地」という思想
ロシア・ウクライナ戦争やイスラエルと周辺国との戦争は、以前にもお話ししたように、レコンキスタ(国土回復運動)の性格が強いと考えます。
ロシアについては、プーチン大統領の頭の中にはソビエト連邦体制の復興や、それを越える大ロシア帝国の再興という軸が存在し、その実現のコア(核)となる国々としてロシア、ウクライナ、ベラルーシを挙げています。
プーチン大統領の頭の中では、これら3か国は不可分の兄弟姉妹の国々であり、その一つであるウクライナが“欧米にそそのかされて”ロシアに反旗を翻すことは到底許容できるものではないという思想が基盤に存在します。
その点では、今回の一方的な侵攻のベースとなっている【NATOの東進はロシアの国家安全保障を著しく脅かすもの】という理由はある程度は理解でき、それを許したウクライナのゼレンスキー政権は到底許せない存在と言えます。
ソビエト連邦の崩壊については、プーチン大統領も以前、「状況に鑑みて不可避だった」と認めていますが、それを許容するとは言ってはおらず、ソビエト連邦崩壊後の混乱を越え、再びcomradesが集まるべきであり、それを不可能にしたのは、ロシアの混乱に付け込んできた欧米諸国の企てであるという思いが非常に強いと言われています。
それでもプーチン大統領は当初は欧米に接近し、“新しい関係”を築こうとしていたようですが、相次ぐNATOの東進の動きを受け、反欧米にシフトし、その結果が2014年のクリミア半島の併合以降の動きと言えます。
そこにコロナ下での孤立期に帝政ロシアの文献を読み漁り、そこから大ロシア帝国再興の考えを強めたという分析がありますが、まさに今、ウクライナという“もっとも近しい国”を再度ロシアに取り込むことを通じて、国家および覇権の回復を狙っていると考えています。
もちろん、ロシアがウクライナへの侵攻という“失敗”を侵している理由はそれだけではないですが、領土の拡大および覇権の確立という“欲”が、冷静な判断を狂わせ、止めることのできない終わりのない戦いにロシアを陥れていると言えます。
イスラエルによるパレスチナ、シリア、レバノン(そしてエジプトやヨルダン)への攻撃は、自国と国民の生存のために“必要な戦い”という位置づけがされていますが、その背後にある“神に与えられた土地”という思想についての受け取り方に対する議論はあるものの、“神による選民たるユダヤ民族の安住の土地の回復と維持、そして拡大”という思想は、建国以来、イスラエルの行動の軸となり、そのために“神の土地を不法に占拠している者たちを駆逐する”と行動の正当化に用いられています。
しかし、この他には到底受け入れがたい“軸”の背景には、ディアスポラ(流浪の民)としての悲劇の歴史、ホロコーストという人類史上最大の悲劇を二度と繰り返してはならないという覚悟があるものの、最大の理由は領土の確保・拡大という欲であり、かつ資源の独占という欲の存在と見ることができます。
普通に聞いていると到底理解できず、ロジックが全く成立していないと思われるような正当化でも、アメリカにおける親イスラエルロビーと、「イスラエルの建国は神の目指した天国の実現」と信じてやまないキリスト教福音派による影響力を通じて、イスラエルが実質的にアメリカを所有しているような現実が、イスラエルにそれを許し、生存欲や領土欲、そして繁栄のための欲の最大化を進めるエンジンになっており、それが教義と合わさって人々の思考に影響を与えて行動の正当化に寄与していますが、これもまた“もっともっと”という尽きない欲が推し進める行動ではないかと考えます(もちろん、反対意見も多々あるでしょうが、私はこう感じています)。
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