米中首脳会談は“失敗”、中ロ両首脳会談は“現状維持を容認”。着実に進む「強欲に導かれる世界秩序」の構築

 

失われた「世界中の人々が利益を享受する」という欲の実現

その答えがどのような内容であったとしても、一つ確実なことは「安定的で安価なエネルギー・物流を前提とする時代は終わった」ということで、今後、各国および企業にとってはサプライチェーンの再構築が急務となり、かつ高止まりの原油価格と石油精製品の入手可能性の不確実性が向上するという新しいリスクを意識した対応が必要になるという現実が顕在化します。

米中首脳会談はこの問題を解決できないまま“失敗”に終わり、その後、開かれた中ロ首脳会談では“現状の維持”が容認されたことで、大国の力を用いた根本的な転換という解決が図られる見込みはなくなり、そこに動けず影響力を駆使できていない欧州各国、麻痺した国連による国際協調による解決機能という悲しい現実は、今後、世界における分断を深め、力のあるものが自身の利益の最大化のために他を犠牲にするという力による支配・外交がメインストリームになるという“強欲に導かれる世界秩序の構築”と“拭えないダブルスタンダードと矛盾の顕在化”という状況が生まれる基盤を日に日に強固にしているように思われます。

そこには武力戦争とはまた別の“もっともっと”という欲に支配された包括的な世界戦争(軍事、経済、文化、食糧、エネルギー、水資源などをひっくるめた全面的な全方位型戦争)がいつ起こっても不思議ではない、極度の緊張状態が生まれてくる危険性が横たわっているのではないかと懸念します。

近日中にアメリカがまたイランへの大規模攻撃を決行するのではないかとの情報が入ってきています。同時に真偽のほどは要確認ですが、米・イラン間で交渉による妥結のためのジャブの撃ち合いが続いているのも事実で、そこにわずかながらの希望を託す空気もまだ残っています。

ロシア・ウクライナ戦争においては、ウクライナの無人ドローンによるモスクワへの攻撃を受け、危機感を募らせるプーチン大統領がついに核使用という禁じ手に出るのではないかというシナリオが再浮上してきています。

そして悲劇の地“ガザ”とヨルダン川西岸地区でのイスラエルによるパレスチナへの容赦ない攻撃は、世界の目がイラン情勢とそれによって生じている経済的な危機に釘付けになっている背後で淡々と進められ、深刻な人道危機を拡大しています。

さらには世界のいたるところで“停戦しているはずの紛争”が再燃する危険性が高まり、それがいつ爆発し、世界的な戦争に繋がる火種になるか見通しが立たない状況も生まれてきています。

国際的な安定と平和、そして安寧の実現という、他者を思いやり、世界中の人たちがそれなりの利益を享受するという“欲の実現”を目指す機運は著しく失われ、その代わりに各国が自国ファーストの姿勢を強め、自らの欲の実現を優先する弱肉強食の世界が顕在化してきています。

そのような中で私たちはどう生き続けていくべきか。そして私たちはどこに希望を見出し、どのような“欲”を掲げていくべきなのか?

先行きが見えづらい状況が生まれている気がしてなりません。

今週の国際情勢の裏側のコラムでした。

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