米国中間選挙で大敗した“裸の王様”トランプが「外交」と「軍事」で早く成果を上げようとする危険な兆候

 

2.撃たない理由、撃つ理由-米国とイラン

【2-1.投票日前夜の「小さな攻撃」】

11月2日、月曜日の夜、米軍はホルムズ海峡に面したイラン南部のケシュム島を攻撃しました。米国の当局者によれば、標的はイランの防空施設で、イランの革命防衛隊が米軍機に向けて撃ったことへの「限定的で防御的な」対応だったとされます。トランプ大統領はこの攻撃を認めたうえで、「小さな攻撃で、戦争ではない」と述べました。

同じ日、大統領はSNSに、イランは「できるだけ早く」決着を望んでいると書き込んでいます。原油の市場は、攻撃よりもこの書き込みのほうに反応しました。北海ブレント原油の先物は11月2日、7.4%下がって1バレル105.03ドルとなりました。さらに選挙の翌日の4日には、共和党の大敗で外交による決着の見方が強まり、一日で8%近く下落しています。5日には93ドル台と約2カ月ぶりの安値をつけ、4日続けて値を下げました。

それでも、10月29日付の日本経済新聞で日本エネルギー経済研究所の小山堅顧問が指摘したとおり、世界の石油の在庫は過去5年で最も低い水準に近づいており、市場の関係者も軍事行動の再開への警戒を解いてはいません。在庫という緩衝材が薄くなった市場では、わずかな揺れでも値段が大きく跳ねます。

【2-2.トーンを下げた大統領】

選挙の翌日の11月4日、トランプ大統領は、イランへの攻撃の再開について、当面その計画はないと語りました。米ブルームバーグ通信などによれば、大統領は「準備はできている。弾は込めてある。だが、その必要はないかもしれない」と述べ、米FOXニュースには「仕事はまだ終わっていない。やるかもしれないし、やらないかもしれない」と答えています。

選挙の前、米国の報道は、中間選挙の後に「短く激しい」作戦が始まる可能性を繰り返し伝えていました。米メディアは、中央軍が選挙の翌日の水曜日にも始められる追加の攻撃の計画を持っていると報じ、3隻の空母が中東にそろう見通しも伝えられていました。中央軍によれば、イランの港の封鎖には今も20隻を超える艦艇と数百機の航空機が当たっています。

拳はまだ握られたままですが、それを振り下ろす理由が、選挙の結果によって細ったのです。

米ガルフ・ニュースなどによれば、カタールの仲介者は、3日間で信頼を築く措置を順に実行する合意の案について、米国とイランの双方の支持を取り付けようとしており、数日のうちに直接の協議が再開される可能性もあると伝えられています。

米アクシオスによれば、イスラエルのネタニヤフ首相は10月31日、中間選挙の直後にイランを再び攻撃するようトランプ大統領に求めましたが、大統領はイランとの協議を優先する考えを示したとされます。米国とイスラエルの間に、目に見える溝が生まれ始めています。

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