米国中間選挙で大敗した“裸の王様”トランプが「外交」と「軍事」で早く成果を上げようとする危険な兆候

 

【2-7.調停の視点から-「撃たない」ことを、取引の材料にさせない】

私が今週最も気になっているのは、米国が「撃たない」ことを、イランが「譲歩」として受け取っていないことです。交渉の現場では、自らが取らずにおいた行動は、相手から見れば「当然のこと」として値引きされやすいものです。

米国は、選挙の後の攻撃を見送ることで、相手に一つの贈り物をしたつもりかもしれません。しかし、イランから見れば、それは米国が国内の事情で撃てなくなったという事実にすぎず、対価を払う理由にはなりません。

このとき米国が取るべき道は、攻撃の脅しを再び強めることではないと私は考えます。脅しは、使わずにおくほど価値が下がり、使えばもう脅しではなくなるという、厄介な性質を持っているからです。

むしろ必要なのは、封鎖を少しずつ緩める代わりに、海峡の通航を少しずつ戻させるという、小さな交換を積み重ねる設計です。一度に大きな約束を交わすのではなく、守られたことを確かめながら次へ進むやり方です。

私は様々な交渉の現場で、まさにこの「小刻みな交換」が、互いに一歩も譲らない当事者の間に、最初の足場をつくるのを見てきました。大きな合意は、小さな約束が守られた記憶の上にしか建ちません。

この記事の著者・島田久仁彦さんの新創刊メルマガ

初月無料で読む

print

  • 米国中間選挙で大敗した“裸の王様”トランプが「外交」と「軍事」で早く成果を上げようとする危険な兆候
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け