頼りはロシアのみ。米ロ首脳会談前に中国が見せた「焦り」の意味

kitano20210621
 

G7サミット終了後の6月16日、大統領就任後初となる米ロ首脳会談に臨んだバイデン氏。融和ムードは演出されたものの大きな収穫はなかったと評されるこの会談ですが、「対中包囲網」の観点から考えると、非常に意義深いものであったようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、バイデン―プーチン会談の「大戦略的意義」について詳しく解説しています。

バイデン―プーチン会談の【大戦略的意義】

スイスのジュネーブで6月16日、バイデン―プーチン会談が行われました。今日は、この会談の【大戦略的意義】について考えてみましょう。

まず、簡単に「米ロ関係の現状」を見てみましょう。「現状」といっても、過去の話になりますが。まず、ソ連が崩壊したのは1991年12月。新生ロシアの初代大統領は、エリツィンさん。彼は1999年末まで大統領でしたが、米ロ関係は、概して良好でした。

2000年、KGB出身のプーチンが大統領になった。以後、米ロ関係は、「概して悪い」状況がつづいています。とはいえ、2000~2021年までに、「比較的良好だった時期」もありました。2009~2011年です。この時、ロシアの大統領はメドベージェフ(プーチンは首相)で、アメリカの大統領はオバマさん、副大統領はバイデンさん。この時代を、一般的に「米ロ再起動時代」といいます。

2012年、プーチンが大統領に返り咲いた。米ロ関係は、またもや悪化しはじめました。2014年2月、ウクライナで革命が起こり、「親ロシア派」のヤヌコビッチ政権が倒れました。2014年3月、プーチンは「クリミア併合」を断行。

2014年4月、ウクライナで内戦勃発。これは、ウクライナ新政権を支援するアメリカと、ウクライナ東部親ロシア派ルガンスク、ドネツク州を支援するロシアの「代理戦争」。アメリカは、欧州、日本を誘い「対ロシア制裁」を科しました。

2017年に大統領になったトランプさんは、「親プーチン」「親ロシア」でした。しかし、全民主党と共和党議員の大多数は「反プーチン」。それで、彼の時代、米ロ関係は改善されませんでした。

そして、バイデンの時代がはじまったのです。

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