次の戦場は「東アジア」か?日本と韓国がNATOの飽くなき東方拡大に巻き込まれる日

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ロシアによるウクライナ軍事侵攻の原因の一つとして挙げられる、NATOの東方拡大。冷戦時代の「遺物」である彼らは、東アジアをも侵食しようとしているようです。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、日韓両国を訪れNATOとのパートナーシップ強化を訴えたストルテンベルグNATO事務総長を、「バイデンの使い走り」と一刀両断。さらに自国製の最新兵器の売り場としてNATOを拡大し続けたアメリカを、名指しで強く批判しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年3月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

日韓に伸びるNATOの魔の手。第2のウクライナになる国

中国学者で米ディフェンス・プライオリティーズ客員フェローのクイン・マーシックが『Nikkei Asia』への寄稿で「NATOはアジアに関わるな」と言っているのは正しい(3月4日付日経本紙に要約がある)。

米国が欧州をウクライナ戦争にますます深く引き込んで無益な戦闘を長引かせようとしている中、NATO事務総長のストルテンベルグが1月末から2月初にかけて韓国と日本を訪れ、韓国の尹錫悦大統領と岸田文雄首相に「中国による自由と民主主義への挑戦に対応するため、日韓とNATOとのパートナーシップを強化すべき」だと訴えた。

しかしマーシックに言わせれば「NATOは本来、インド太平洋地域とは関係がない」。NATOの条約第5条には「加盟国に対する攻撃は全加盟国に対する攻撃とみなす」という集団的自衛権の決まりが盛られているが、これは欧州と北米だけに適用されるもので「北朝鮮がハワイやグアムを攻撃してもNATOに反撃する権限はない」。

なのにストルテンベルグは何のために日韓を歴訪したのか。バイデン米大統領が描いている「民主主義vs権威主義」――すなわち米国を盟主とする自由陣営が結束してロシア、中国、北朝鮮の新旧共産陣営と対決するという時代遅れの世界観に彼自身も深く共感しつつ、言わばバイデンの使い走りとして、日韓がもっと積極的に自由陣営に加わるよう促すためにやってきたのである。

余計なお世話とはこのことで、マーシックが「NATOはインド太平洋地域には関係がないし、権限もない。イデオロギーを巡る不必要な緊張を引き起こすのは控えるべきだ。中国による侵略戦争が避けられないと想定するのをやめ、中台間の緊張を煽るのを避けるべきだろう」と言うのはその通りである。

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