子供への「性教育」をタブー視する人は、一体何を恐れているのか?

 

……なんかこの問題って、本末転倒だと思うのです。

つまり、「人権教育としての性の安全」と「保健の授業としての妊娠と出産」いったいどっちが子どものためになり子どもが幸せになるために必要なのか? と。

普通に考えれば前者です。そもそも性教育を保健で扱うことに違和感がある。と同時に、中学生になれば「性への関心」は高まり、ネットや雑誌にあふれるあやまった性に関する情報に子どもたちはアクセスする。

ならば余計に、興味本位の知識ではなく、きちんとした情報を子どもたちに与えるべきです。

そして、人を愛するとはどういうことか? 愛する人を大切にするとはどういうことか? 人はなぜ、人を愛し、愛されたいのか? 命とは何か? 命はどのように誕生し、育まれるのか? という内容を先生も一緒に考え、議論し、性の問題を「人間のテーマ」であり、「人間をトータルに考える教育」と捉えれば良いと思うのです。

だいたい「の3つは決して分けて考えられないですよね。

ところが、なぜか学校教育では、「性交」という行為、「妊娠」という体の仕組み、といった生物学上の種としての「ヒト」だけをとりあげコミュニティの一員としての「人間はおきざりのまま。もったいないというか、なんというか。

性教育をタブー視する人たちは、いったい何を恐れているのか? 申し訳ないけど、私には全く意味不明なのです。

実は1992年は「性教育元年」と言われ、小学校の段階から「性」を本格的に教えていました。そうです。日本も欧州に負けず「人権教育としての性教育に取り組んでいたのです。

ところが2000年代に入り、流れが大きく変わります。きっかけは、中学3年生向けの冊子「思春期のためのラブ&ボディBOOKの回収騒動です。

冊子にはコンドームの装着方法やピルの紹介などもあり、国会で「中学生の性行動をあおっている」といった激しい批判が巻き起こったのです。

結局、冊子は全面回収され、マスコミは連日「過激な性教育が学校でまん延している」と報道。それ以降、学校の性教育は風俗との兼ね合いで議論されるようになってしまったのです。

……国会、政治家、マスコミ――。

どんだけ「を知らないジジイどもなのか。愛のない性行為しか知らない人たちには、性教育の本当の意味などわかるわけがありません。

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デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2018年6月6日号)より一部抜粋

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