南シナ海「航行の自由」作戦、米国側はどう報じてるのか?

 

また、国連海洋法条約では領海やEEZの基点になるものとして3つの海の地形を挙げておりまして、それらを説明すると、

(1)低潮高地(Low-tide elevations)
・暗礁のこと。満潮になると海に隠れる。領海もEEZも主張できない。
・例外として、実効支配者は安全航行のために500メートルの安全水域を設定可能。

(2)(Rocks)
・満潮時でも海に沈まない。人間が継続して住めない。
・領海はOKだが、EEZは主張できない。

(3)(Islands)
・満潮時でも海に沈まない。人間が継続して住めるし経済活動も可能。
・陸と同じで領海もEEZも主張できる。

というものです。

さて、今回の南シナ海に軍艦を送り込む中で、これらを踏まえてアメリカにとっての選択肢にはどのようなものがあるかというと、冒頭の記事の著者たちは3つの選択肢があると申しております。それらを、メッセージ性が弱い方から強いほうに並べてみると、以下のようになります。

A:岩や人工島周辺の12カイリ内を、無許可で無害通航

B:低潮高地周辺の12カイリ内で、軍事的なオペレーションを実施。

C:岩や人工島周辺の12カイリ内で、軍事的なオペレーションを実施。

繰り返しますが、これによって発せられるメッセージ性の強さは、A<B<C。そして今回米海軍がやったのは、現在報道でわかっている部分ではAということになりますね。

もちろん米海軍は、今後もAだけでなく、BやCを行っていく可能性がありますし、またそれを追尾してくる中国海軍などと衝突したりする可能性も否定できません。

世界の30%の船が通過し、日本人の生活もかかっている南シナ海では、アメリカと中国という世界の2大大国の間で、このような劇的な安全保障ドラマが展開されております。われわれは今後も注視していかなければならないでしょう。

image by: Wikipedia

 

日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信
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