シリア難民が「フランス行き」だけは頑なに避けようとする理由

 

すみません、他のEU諸国の難民認定までは調べていませんが、手続きそのものは、ほぼ同じだと思いますよ。通過しやすいかどうかが違うだけで。

フランスは、経済状態よくないですからね。失業率も下がっていませんし。正直言って、難民受け入れのために税金を増やすなんて言ったら暴動が起こりかねないです。でも、立場的には受け入れざるを得ないし、それはフランス人もわかっていないわけではない。

難民認定には2通りあり、

A.人種的、政治的または宗教的迫害を受けて居住国にいられなくなった人(日本語で言う亡命者ですね)

 

B.居住国内で戦争、紛争、テロなどが頻発し、命の危険にさらされているため、居住国を逃れることを希望する人

Aの人は難民認定されると10年滞在カード(事実上の永住許可)が発行され、Bの人は1年の短期滞在カード(更新可能)が家族全員に発行される。A、Bとも、労働許可を含む。

難民保護局のディレクターが話したという新聞記事に拠りますと、今回、シリア、イラク難民に関しては、手続きが簡易化され、認定も早いだろう、おそらく、3分の2が上記A認定、残りがB認定になるだろう、とのことです。

必ずしも出身国を離れる必要はないが、移住を希望し、260ユーロ払って、フランスに「住まわせてもらう」移民と、祖国を離れざるを得なくて、フランスの「保護を受ける」難民、亡命者は違います。

移民も多いが難民も決して少なくないフランスでは、中学生にもなれば、その違い誰でも知っているでしょう。難民受け入れの前に女性活躍云々、というどこかの首相の発言は、外国人にとっては、何が言いたいのか、さっぱりわからなかったことでしょう。なぜなら、一国の首相が移民と難民の違いをわかっていないなどということは、ありえないからです。

ではみなさま、また、そのうちに。

(MAO@ふらんす)

image by: Shutterstock

 

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