米国が「中国打倒」を決意した2015年。これから世界はどう変わるか?

 

しかし、大国の中で唯一「AIIBに参加しなかった国があります。それが、わが国・日本。4月29日、安倍総理は米議会で「希望の同盟」演説を行います。これで日米関係は、劇的に改善されたのです。

5月、アメリカは、本格的に中国バッシングを開始。「ネタ」になったのは、「南シナ海埋め立て問題」でした。米中関係急速に悪化し、両国の軍事衝突を懸念する声まできかれるようになってきます。

さらに、中国の景気急速に悪化していきました。6月から9月にかけて、株価が大暴落したのは、記憶に新しいですね。

一方で、アメリカはロシアとの和解に動きはじめます。5月12日、ケリー国務長官が訪ロし、プーチンと会談。「ウクライナの停戦合意がつづけば、制裁解除もあり得る」と発言し、世界を驚かせました。

希望の同盟」演説で日米関係を好転させた安倍総理。8月14日には、「安倍談話」を発表。曰く

私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。

暗に、「中国ではなく、アメリカにつきます」と宣言した。アメリカは、喜びました。

9月19日、「安保関連法」成立。日本とアメリカの接近はつづきます。

9月末、国連総会があり、世界のリーダーたちがこぞってアメリカを訪問しました。一番目立ったのは、アメリカ(特に政界)が、習近平に冷たかったことです。

一方、目立ったのは、米国内の習氏への冷ややかな反応だ。米テレビは、22日から米国を訪問しているローマ法王フランシスコの話題で持ちきりとなっており、習氏のニュースはかすんでいる。

中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏は「習氏にとって一番の期待外れは、全く歓迎されなかったことだろう」といい、続けた。

「ローマ法王はもちろん、米国を訪問中のインドのモディ首相に対する熱烈歓迎はすごい。習主席は23日にIT企業と会談したが、モディ首相もシリコンバレーを訪れ、7万人規模の集会を行う。米国に冷たくあしらわれた習氏の失望感は強いだろう。中国の国際社会での四面楚歌(そか)ぶりが顕著になった」(夕刊フジ 9月28日)

米中関係は10月、アメリカの「航行の自由」作戦で、さらに悪化しました。

<南沙>米中の緊張高まる 衝突回避策が焦点…米軍艦派遣 毎日新聞 10月27日、(火)12時34分配信

【ワシントン和田浩明】中国が主権を主張する南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島から12カイリ(約22キロ)以内の海域に米海軍がイージス駆逐艦を進入させたことで、南シナ海全域の軍事的緊張が一気に高まった。

米国は中国の対抗措置を見越して作戦行動に踏み切ったとみられるが、軍艦船の偶発的な接触など双方が予期しない形での危機に突入する可能性がある。

オバマ米大統領は9月下旬の米中首脳会談で、習近平・中国国家主席に直接、南シナ海の軍事拠点化を中止するよう要求したが、習氏は「主権の範囲内」と拒否していた。今回の「航行の自由」作戦はいわば米国による「実力行使」であり、当然、現場海域に展開する中国海軍の対抗措置を予想したものだ。

さて、9月末、中東では新たな動きがでてきました。ロシアが、シリアのIS(とアサド派)空爆を開始したのです。

11月13日、パリでISによる同時多発テロ」が起こります。この事件をきっかけに、オランド大統領は、「欧米ロ」による「反IS大同盟」形成に動きはじめました。彼はアメリカに飛び、11月24日、オバマに「大同盟」の形成をよびかけるつもりでいた。しかし、まさにその11月24日、会談の直前に、トルコがロシア軍機を撃墜したのです。

(その裏事情、詳細はこちら。「プーチン激怒~ロシア軍機撃墜事件の『深い闇』」)

これで「大同盟」構想は、いったん挫折しました。しかし、「完全に葬り去られた」わけでもないようです。というのも、12月15日、ケリーがモスクワに来てプーチンと4時間会談した。話し合ったのは、やはり「シリアIS問題」です。「AIIB事件」ではじまった米ロ和解の流れはつづいているのです。

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