お正月はいったい何がおめでたい?お年玉の語源はお餅にあった!?

2015.12.27
by 横田吉木
kadomatsu
 

なぜ、お正月に「あけましておめでとうございます」って言うの?

聞いたことも言ったこともあるけれど、その意味がわかっていないものって結構ありますよね。お正月の代表的な挨拶「あけましておめでとうございます」も、そのひとつではないでしょうか。

「あけまして」は、年が明けるの意味というのはわかるのですが、なにが「おめでたい」のか…。

そこで、仏事や神事に詳しい「はせがわ」の港北ニュータウン店・安藤浩一さんに「あけましておめでとうございます」とはどういう意味なのか、お聞きしました。

お正月がなぜおめでたいのか?

――さっそくですが、お正月には「あけましておめでとうございます」と挨拶をしますが、なにが「おめでたい」のでしょうか?

安藤浩一さん(以下・安藤):お正月は新たな年、つまり年神(歳神)様をお迎えするということ。だからおめでたいのです。

――年神(歳神)様とはいったいどのような神様なのでしょうか?

安藤:お正月以外ではあまり聞くことはありませんが、年神(歳神)様というのは、古来より日本人の暮らしの中で伝えられてきた神様です。日本人が考えてきた神様とは、一言でいえばご先祖様のこと。

日本人の古くからの考え方では、人間は亡くなってから一定期間を過ぎると、ご先祖様の仲間入りをすると考えられてきました。ご先祖様は亡くなられた後、生まれ住んだ地域の山に上って山の神として山頂から子孫の暮らしを見守り、そして春になると山から里に降りて子孫たちの行う米作りを見守る田の神に。そして、新年になると年神(歳神)として子孫の家庭を訪れ、各家庭に繁栄をもたらし、見守ってくれたのです。

――なるほど。そういったことがあっての「おめでとうございます」なんですね。

お年玉の語源は鏡餅!?

――せっかくなので、続けてお正月のあれこれについてお聞きしたいです。お正月と言えば、門松を思い浮かべるのですが、これにはどういう意味があるのでしょうか。

安藤:門松は、今では既製品を購入することが多くなりましたが、本来は近くの山に出向き、松・竹・梅やその他の植物を採り、自ら作るものでした。

門松は、神様を迎えるための目印ですから、それを山から採ってくるという行為自体に、年神様を山からお迎えするという意味が込められていました。

――あの門松にはそんな意味が込められていたんですね。

安藤:また、年神様をお迎えする場所は、しめ縄を張って聖なる空間を作ります。しめ縄には、秋に収穫された稲の藁(わら)を使います。田の神に見守られて育った稲には、稲魂(いなだま)という霊魂が込められていると考えられ、その稲藁で作るからこそ神聖な空間を作り出すことができると考えられてきました。しめ縄を簡略化したしめ飾りも同様の意味を持ち、各家庭の家の入り口などに飾られ、その名残を感じさせます。

――では鏡餅はどんな理由なのでしょうか。

安藤:鏡餅は魂の形を模したといわれる、年神様に宿っていただくための依り代(よりしろ)です。

神様が宿ったお餅を鏡開きの日に皆で食べることによって、家族が1年間無事に過ごすことができると考えられていたようです。

また、お年玉の語源も、供えたお餅をお下がりとして子供たちに食べさせ、これを、年神様の魂をいただく=お年魂と呼んだことからお年玉と変化したと言われています。

――お年玉の語源がそんなところにあったとは…。とっても勉強になりました。ありがとうございました。

もう今年も残りわずか。お正月は、神棚や床の間、お仏壇に鏡餅をお供えして、家族そろって年神様をお迎えしてみてはいかがでしょうか。

そしてお年玉をあげる時には、語源であるお餅を渡して、ちょっとした話題作りをするのもいいかもしれませんね。

※今回お話しいただいた内容については諸説あるうちのひとつです。

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はせがわ

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