世界から見られる時
結局、こういったアメリカの大学院の学生を育てる「真剣度」が高いために、「アメリカの大学院は多方面で優れている」という一定の指標を用いた評価に繋がることは事実です。免疫学の分野では、世界のトップ5の大学はハーバード大学、ロックフェラー大学、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、ジョン・ホプキンス大学、そしてワシントン大学です(US News Education 調べ)。ヨーロッパの大学も退けてトップがほぼアメリカで埋め尽くされていて、東京大学がランクインしてくるのが21位というデータを見ただけでも、明らかに何か根本的な違いがあるということが認識できます。
単純にどちらの大学のが良いか、ということではなくて、システムそのものが違うということを示唆していると思います。というのも、日本の大学だって物凄く優れていて、頭の良い人達が沢山いるわけなのですから。頭の良し悪しという尺度だけでは計れない、システムの差がそこにはあるわけです。
最も簡単な例でいえば、アメリカの上位の大学院は大学院生に対してお金や生活を完全サポートしてくれるかわりに、その入学枠が小さく、そしてめちゃくちゃ厳しい教育を行います。学科から見たらそれだけのお金を投資するわけですから、しっかりみっちり学生を育てたいと思うわけです。
日本では大学院生は大学にとって学費と労働力をもたらしてくれる存在ですが、アメリカでは大学院生は大学にとってお金も手間もかかる存在です。そもそもの捉え方が違うのですね。
そして僕は、そんな厳しい道をあえて外国人として乗り越えてみたい、というチャレンジをしてみたかったのです。もちろん、それは簡単なことではありませんでした。次回は、それを実現するために行った下積み時代の話を書いてみたいと思います。
『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』 Vol.107号より一部抜粋
著者/しんコロ
ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。