【書評】持ってる人はやっている。「運」を味方につける考え方とは?

 

さっそく、エッセンスを見ていきましょう。

人は果たして選択が正しかったかどうかをけっして自分で確かめることはできない

うまく生きる秘訣はなるべく選択しないですますことである。「あれかこれか」ではなく「あれもこれも」ということである

判断力があるように見せることは大切だが、実際には、いくつかの選択肢が出払ってから考えてもムダではない

人が納得できないのは、実際に起こったことについてではなく、なぜそれがよりによってほかの人にではなく、自分の身に起こったのか、ということである

いくつかの事象の系列がある一点で出会うことによって、スーパーナチュラルな出来事が浮上してくる

この世には、対象のない苦しみがあるように、対象のない喜びというのもまた存在するのである。ただぼうっとしているだけで幸せな状態こそ、本当の幸せなのではないか

自分を解きほぐしてくれるもの、眠り、赤ちゃんに戻してくれるもの、恍惚、柔軟性、ぐちゃぐちゃにしてくれるもの、そんなものにこそ大きな価値があるのではなかろうか。そう、決まりきった日常とは異なる多くの選択肢を持つ必要がある。自分を世界に開いてくれるものならなんでも受け入れるべきなのである

日本の仏教は、とりわけ中世において、「万物流転」「無常」「おごれるものも久しからず」「盛者必衰」など悲観的な色彩を強めていった。「すべては移りゆく」「生きることは虚しい」「つねに死の準備をせよ」というのだ。ところが、それは江戸時代の元禄文化あたりからまた違った傾向を持つことになる。つまり、そのあたりから、「憂き世」を「浮世」に置き換えて、どうせ「この世は常ならず」なら、「がんがん楽しんじゃおうぜ」という考え方が優勢になってくる

そもそも宗教というものも、ルーマニアの宗教学者エリアーデも指摘するように、何よりも「エクスタシーの技術」なのである。「エクスタシー」(忘我)は「エグジスタンス」(存在)と同じ語源であり、「みずからの存在の外側に立つ」という意味であり、歴史を通じて、人間はつねに自分以外のものに自分を託すことによって危機を乗り越えてきたのである

元禄文化の話を読んでいて、これからの日本が向かうのはひょっとしたらこれかなあ、と思ってしまいました。芸術、娯楽、文化の時代がやってきた感じがしますね。

じつに興味深い読み物です、ぜひチェックしてみてください。

image by: Shutterstock

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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