トヨタを成功に導いた、ドラッガーも賞賛する日本の「非常識」

 

中国人やアメリカ人には、この日本人の「メンタリティー」はないでしょう。自身が評価されるように「過大に自己主張して、少しでも高い評価を得ようとし他と競い合います。そうしなければ職にありつけずまたより豊かな生活をありつけないためで、お互いがこのルールで競うので後ろめたさはないようです。

話を改めますが、トヨタ自動車の業容は群を抜いていますが、その理由がトヨタの生産方式つまりTQM総合的品質管理)に負うところが大です。このTQMが業績アップに貢献するのは明確なのですが、すべての企業で有効に機能しているとは言い難く、さらに言うとアメリカ企業では経営風土がが違うので特にそうであると指摘されています。

トヨタの業容をアップさせているもう1つの主役であるジャスト・イン・タイムカンバン方式)に至っては、多くの日本企業が採用したのですが成功した企業はほとんど皆無と言われています。ところがこの方式については、アメリカでは「リーン生産方式として注目されあらたな経営手法にもなって違う展開がはかられています。

ここで言いたいのは、バックボーンとなる企業文化・風土、さらに組織形態等を無視した経営スタイルに飛びついても成果が出ないということです。経営学者のドラッカーは、弱みの修正よりも強みの強化が戦略的な判断だと指摘しています。そうであるので、和の気質や自社独自の強みを活かすことが戦略となります。

また話を一変させますが、日本とアメリカは「マネジメント」において興味深い関係があるように感じられるのです。アメリカが好調であると日本がその要因である「マネジメント」を真似ようとし、逆であるとアメリカが真似ようとします。ところが面白いのは、自国流に工夫して変容させることです。

先に述べたトヨタのTQM(総合的品質管理)は、アメリカの統計学者であるデミングが1950年に行ったSQC統計的品質管理のセミナーがその始まりでした。アメリカの先進の管理法を導入したのですが、ところが当のアメリカでは全く注目されなかったものだというのは皮肉なことです。

このTQMは日本が飛躍的に成長を果たした原動力であったので、後のアメリカで評価されたのですが「日本的ボトムアップ型TQM」はアメリカの風土にそぐわないという結果となっています。経営学者のドラッカーは「TQM」は日本だから成功したもので、ここで日本の非常識の特殊性を称揚しています。

image by: ricochet64 / Shutterstock.com

 

戦略経営の「よもやま話」
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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