スコットランドの動きにも注目
スコットランドでは住民投票の声も上がっており、今後自分たちが独立してEUへ加盟することも考えられる。他にもオランダの極右政党の続伸なども出ている。オランダでは今回のことは「イギリスエリートたちの敗北」という声も出ている。デンマーク、スェーデン、フランスも同様に極右政党が伸びてきているなど、非常に混乱しているように思う。
これらの動きを見ていると、イギリスの今回の選択はいろいろ考えさせられる。国民投票前の世論調査では拮抗し、どうなるか未知数だった。しかしながら、イギリスの人たちは最終的に離脱を選んだ。最後の最後はイギリスの人達の中では「残留するだろう」という声が多かった。私自身も経済の損得を考えたら残留するだろうというように以前の放送でも話した。私は、甘くみていたなというように思う。
太陽の沈まぬ国も…
なぜ、こういう離脱に傾いていったのかというと「ジョン・ブル精神」のようなイギリスの精神論が1つの要因としてあったように思う。
ジョン・ブルは典型的イギリス人で、頑固で不屈で誇り高いイギリス人魂。ノブレス・オブリージュ(身分の高い人が果たすべき役割)やジェントルマンシップとならび評される言葉である。
イギリスは、15、16世紀の大航海時代以降スペイン、オランダ、ポルトガルといったところをおしのけ世界の覇権をにぎり、20世紀まではイギリスが世界を支配していた。それは、「イギリスは太陽の沈まぬ国」とまでいわれていた。しかしながら、ドイツが台頭し、結局ヨーロッパを席巻。イギリスはアメリカに頼んで救済してもらった。
ジョン・ブル精神を発揮!?
そういったイギリスからすると、ドイツとフランスが中心となって作ったEUに対し、もともと我慢ならなかったところもあるのだろう。特にサッチャー元首相は、元々ドイツが大嫌いだった。その中でどんどんドイツが強くなり、今回の離脱の話が出てきて、よし、ジョン・ブル精神を発揮してやろうというようなこともあったように私は思った。
これまでイギリスは、EUに加盟してもユーロには加わらず、シェンゲン協定は拒むというような中途半端なところで抵抗してきた。EUへは経済損失が大きいことから加盟したが、これは妥協の産物のようにみえる。イギリスの国内が半々に割れたことは、生まれた時からEUに加盟している若いEU世代、金融街、経済界など経済面での損得することを重んじた人たちは残留を選択した。他方、中産階級のような自分たちで生きているようなところは離脱を選択といったように票が分かれたのではないだろうか。