意外にも日本と似ている?イギリスがEU離脱で見せつけた「島国根性」

 

タイタニック号にまつわるエピソードも

「ジョン・ブル」も当初は田舎の人を象徴する言葉であったが、そのオリジナルの人達がやるんだということも考えられる。オリジナルは立派な人を示す言葉ではなかったが、200、300年経て世界を覇権している間に、先に紹介したイギリス人を表わす言葉に変遷を遂げていった。

「ジョン・ブル精神」にまつわる有名な話として、こんな有名な話がある。タイタニック号の沈没の際にイギリス人の犠牲者が平均よりずっと多かったのは、われ先に救出ボートに乗ろうとした他国人に比べ女性や子供の救出を優先するイギリス人魂を発揮したということを誇りとしていたというのだ。

今回の場合には、ジョン・ブル精神を貫くのかという票と徳、若者のEU世代の票に割れたようにも思う。移民排斥などの理由で今回の離脱を決めたという側面も含まれるなら、本当のジョン・ブル精神はどこにいったのかという矛盾もあるのではないか。

今後の行く末もジョン・ブル精神に!?

本当のジョン・ブル精神を発揮するなら、この状態からどう立ち直るのかというところを見せて欲しい。これで間違いなくイギリスの経済は落ち込む。単に俺たちは勝ったというだけでなく、今後それを本気となってどうやって立て直すのかというところでその精神を試されるところがあるだろう。それは日本の失われた20年からどうやって立ち直るのかということともつながってくるように思う。

今後2年間でいろいろと決めていかなくてはならないが、長いようで短い。ここでお互いに妥協を求めていくのか、さっき述べたようなジョン・ブル精神を発揮して立て直して見せるといってやっていくのかここが見ものである。

今後の行く末に注目

気になるのは若い人たちが自由な空気の中にいたのに、それが閉ざされるということを思っている気持ちを今後どうくみ取っていくのも重要である。

今の日本の若者も高齢者がドンドン決めて、将来への不安を持っている状況であり、東と西の島国の状況が非常に近いというような気がしないでもない。

これから先のイギリス、EUの方向、他の国の選択などさまざまなことがあるのでしっかりと注視していきたい。

なお、ブログにはジョン・ブルの絵を掲載中です。ご興味のある方は合わせて参照ください。

時代を読む

(TBSラジオ「日本全国8時です」6月28日音源の要約です)

image by: Shutterstock

 

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ジャーナリスト嶌信彦が政治、経済などの時流の話題や取材日記をコラムとして発信。会長を務めるNPO法人日本ウズベキスタン協会やウズベキスタンの話題もお届けします。
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