帰ってきた海外勢の日本株買い。アベノミクス「隠れた成功」を分析

 

日本経済の現状

日本経済は、政府統計で現れていない活動があり、日銀の税務ベースの統計と政府統計では大きなギャップが出ている。政府統計で用いている家計調査でも専業主婦ベースで取り、全人口の多くを占める単身家庭の行動が取れていない。このため、政府統計は、現代社会を十分反映していないのではないかとの疑いが持たれている。

税務ベースの日銀発表の経済指標では、政府統計のGDPがマイナスではなくプラスになっている。潜在成長力がゼロ%付近であるので、プラスであるということは、現時点では日本経済は活況ということになる。

このため人手不足が起こり、9月の完全失業率は3.0%であり、ほぼ完全雇用状態を示している。このため、全国のアルバイトの平均時給が1,000円の大台を超えたようである。

2014年で団塊の世代が65歳を迎えて、大量退職したことで、人手が足りない状況になっている。もちろん、65歳以上の高齢者も働き続ける人が多くなり、就業率が30%であるが70%の人が退職している。

大企業は、この穴を正社員ではなく、非正規社員や下請けに回しているので、大企業だけではなく中小企業にも仕事が回り始めたが、中小企業の人手は逼迫しているようである。このため、健康な若者が職を得ることはほぼ出来る状況になってきた。

アベノミクスが始まった当初とは違い、大企業ではなく中小企業や非正規社員に金が回り始めているということになる。大企業社員は賃金が上がらずに、非正規社員の給与が上がることになり、良い形になってきた。やっと、所得格差が解消し始めてきたようだ。

企業は、人手不足のために機械化やIoT化などの合理化投資をする必要が出てきている。

この状況で組合で構成される連合がベア要求を今年と同じ2%にとどめる方針を明らかにしたが、その途端、安倍政権から要求が低すぎると不満の声が上がっている。大企業の賃金も上げて、物価を押し上げたい政府と世界的な競争状況と日本の成長力がないことを知る企業・労働組合とが対峙している状態である。一般労働者の味方が政府というのも史上初めてのことであろう。

このような状態ができたことで、安倍政権の支持率は60%にも上がり、当分安泰である。安倍首相の任期も9年になった。しかし、まだ、政権が安定するかというと無理がある。財政基盤が危ういのである。新規国債を30兆円も依存しているし、今後、防衛費や社会保障費が増えることになり、財政破綻というリスクを抱えている

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