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財政再建

長期政権になるためには、この財政基盤を整備することで、将来への不安を無くす義務が発生している。このままで30年もしたら、日本は後進国になってしまう。その大きな原因は、人口減少である。

総務省の2015年国勢調査では、日本の総人口は1億2,709万5,000人で、10年の前回調査と比べ96万3,000人も減った。日本人に限ると107万人減の1億2,428万4,000人にもなっている。それを埋め合わせているのが日本在住の外国人であり、10万人増加し175万人もいる。

人口が毎年20万人以上も減っている。これでは、税収が減って財政基盤が持たない。税収を増やすために、増税すると国民全体の可処分所得が減り、デフレになってしまう

事実、実質消費支出は、前年比マイナス2.1%と7カ月連続で減少して、9月全国百貨店売上高でも前年比マイナス0.5%になり、9月全国スーパー売上高は前年比マイナス3.2%と2カ月連続で前年を下回った。

9月全国消費者物価指数では、食料とエネルギーを除いたコアコアCPIが前年比0.0%になり、原油の動向を差し引くと、物価が上がっていないというより、マイナスになってきたことを鮮明にした。このように、再度デフレになってきたようだ

その原因は、高齢化の進展による全人口の30%を占める年金生活者の増大と、先行きの年金カット見通しによる節約志向の強まりと、子育て世代は教育費の増大テンポが給与の増加分をはるかに上回っており、貯蓄の取り崩し要因になっている家計が多いと予想される。

各世代にわたって将来への不安が存在している現状では、不安に対応するため、節約して備えるという人が多いようだ。この不安感を少しでも払拭し、明るい展望を示すのが、政治の本来の役割であるができないでいる。

このためには、税収の拡大を増税だけに頼るのは無理であり、納税者数を拡大して税収を確保する道が必要なのである。

人口減少は累積的な効果があり、純血主義の保守主義者が反対して長い議論している間に人口減少が加速して、より大きな量の海外労働者を受け入れないといけない事態になるか、日本自体が後進国になってしまうことを恐れる。早く、人口減少を止めることである。もう、日本女性の出産率向上を待ってはいられない状況になってきたように感じる。

当面は、財政破綻を防ぐために、社会保障レベルの削減をすることである。例えば、年金見直しだけではなく、70歳以上の医療費の1割負担から3割負担等の保障制度の見直しが必要である。

選挙のために、高齢者を優遇してきたが、それも徐々に見直す必要があるようだ。世代間格差を解消して、長い間一定的な社会保障制度ができるようにすることが必要である。厚労省が行ってきたその場しのぎを止めて、制度の安定化を図るしかない

さあ、どうなりますか?

参考資料:The Secret Success of Abenomics

image by: Shutterstock.com

 

国際戦略コラム有料版』より一部抜粋

著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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