GDP世界2位でも、未だに石炭に依存せざるを得ない中国の現実

 

また、炭鉱労働者は貧しく、どんなに厳しい環境に耐えて働いてもあまり報われません。石炭の価格は下落する一方だし、中国各地には数多くの炭鉱があり、生産過多となっているからです。そこで、労働者による金銭目当ての犯罪も起こります。

複数の炭鉱企業から賠償金をゆすり取る目的で17人を殺害した容疑で74人が訴追された事件がありました。炭鉱で事故に遭い死んだとして遺族を装って炭鉱企業をゆるす手口だそうです。

炭鉱事故装い17人殺害、賠償金ゆすった容疑で74人訴追 中国

金銭至上主義、人間不信の中国社会では珍しい話ではありませんが、炭鉱労働者が置かれている環境を鑑みると、同情すべき点もあります。

中国の石炭産業には多くの問題があります。事故が多いのはもちろん、労働者は奴隷です。また、盗掘も頻繁で、政府軍と石炭をめぐる武力抗争も多発しています。

石炭を満載している列車は頻繁に強盗に襲撃され、今でも石炭抗争は昂進中です。中国問題の根源は、まさしくこの資源と人口問題です。マルサスが、もしも遥か2,000年前の漢の時代から中国の資源と人口問題の深刻さを知っていたら、もっと説得力のある「人口論」が書けたはずです。すでに2,000年前の「孟子」や「韓非子」では、これらの問題が提起されています。

世界で石炭生産量が最も多いのは中国で、次いで2位にはアメリカがランキングしていますが、石炭の国内消費量を見ると、生産した多くを自国で消費する中国とは違い、アメリカは輸出や工業用としての使用が多いようです。

世界各国の石炭埋蔵・採掘・輸出入量などをグラフ化してみる

どれだけ中国が世界で虚勢を張ろうと、その実像は人民が石炭を燃やして暖を取り、労働者たちは過酷な労働環境に耐え続けても、まだまだ報われない途上国なのです。

こうした状況を打開するためには、やはり方法はひとつしかないでしょう。中国は広すぎるのです。広すぎるなら中国共産党が統治できる範囲内で統治すればいい。それ以外は、自治を促進すべきなのです。

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