「退職します」「じゃあ研修費払え」会社を訴えたら勝てる?

 

美容院が負けました。その理由は、以下の2点です。

  • (講習手数料を支払うという)契約は退職の自由を奪うことになるので無効
  • この研修の内容は、会社としては当然に行うべきことであり、その費用を本人に負担させるべき合理的な理由がない

これは、別の美容院の裁判や医療法人の裁判でも同じような判断がされています。

いかがでしょうか?

「すぐに退職した社員から研修費を徴収したらどうか」という考えは、気持ちとしてはわかります。ただそれが、「そうすれば退職が減るのでは」「かかった経費を少しでも回収したい」という目的であれば、別の方法で行うしかありません。

特に「退職防止」であればもし仮に早期退職した場合に研修費を取ることが法律で認められていたとしても改善することは難しいでしょう。なぜなら、退職の本当の理由の解決にはなっていないからです。

縛りを作って、仕事を続けさせることを考える前に、その本当の理由を解決するために何ができるかを考えることが大切なのではないでしょうか。

※今回の裁判例とは逆に、海外留学費の返還が認められたケースもあります。それは、その留学が業務と関係が無く社員個人のメリットが大きいため本来はその費用は会社が負担すべきものではない、などの理由からです。詳細はまた別の機会に。

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【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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