少し、話を変えます。残業の指示などしていないのに、従業員が会社に残っていた場合のトラブルについてお話します。
従業員が未払残業代の支払いを求め、労基署へ駆け込んだ場合などに、「残業を指示した覚えはない!」「従業員が勝手に残っていただけ」などという言い訳は通用しません。
「黙示の指示」があったと判断されれば、残業命令があったとみなされます。職場内で、「今抱えている業務が終了するまで、残業してでも終わらせるのは当たり前」的な雰囲気を出していれば、「黙示の命令」があったと判断されます。残業しなければ終わらないような業務量を与えていた場合も、「残業命令」があったものと判断されます。
また、「残業申告書」や「残業指示書」などを利用せずに残業を行わせていた場合、タイムカードの打刻時間が労働時間であると判断されます。従業員が、社内に残ってダラダラおしゃべりしている時間も、お菓子を食ってくつろいでいる時間も、すべて残業時間と判断されます。会社は、タイムカードの打刻時間が、実際の労働時間ではないことを証明する必要が出てきます。
このような事態を防ぐためにも、残業や休日出勤を行う場合には、「残業申告書」の提出を義務付けるべきです。そして、業務終了後は、速やかに退出するよう指導することも重要です。
以上を踏まえて、あらためてお聞きします。
「御社では、残業指示が正しく行われていますか?」
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