トランプ大統領就任からはや半年、米国はここまで落ちぶれるのか

 

中東混乱か?

外交専門家がいないことによるとは思うが、米国の方向性がないので、オバマ時代のイラン関係正常化路線でカタールのようにイランと湾岸地域での天然ガス共同開発をしている国は迷惑を受けている。

しかし、米国はどのような中東政策なのかが依然見えない。IS崩壊後の中東の秩序はどうするのか、ないと中東は新たな紛争が起きることになる。クルド族とトルコの関係やイスラム穏健派とイスラム独裁国、シーア派とスンニ派との関係など、多くの戦争になる要因を持っている。というように中東の混乱が現時点でも見えている。混乱時米国はどうするのかも見えない

米トランプ大統領はサウジのカタール国交断絶を支持したが、その理由である原理主義のテロ組織に資金援助をもっとも行っているのはサウジであり、頓珍漢にもほどがあるとみていたが、最近はわかってきたのか、サウジに自制を求めている。

そのサウジは、カタールへの要求を拒否されたことで、より強力な対応処置を取るとしている。断交以上の処置とは戦争しかないように思うが、中東の複雑性は戦争に結びつきやすい。

NATOに対応する米国の方向性は、今回見えたようである。ロシアの東欧、中欧への侵攻は対応する国に軍事支援を行うことにしたことで、ロシアとの関係は改善しないようである。ドイツとフランスは国防費を増やして米国からの安全保障での依存を脱却するようである。

トランプ政権の経済政策

米国の景気は好調のようである。雇用統計でも24万人雇用増加でFRBは、利上げや資産縮小に向けて動き出すことになり、ECBも同様に出口戦略になり、日本を除く世界的な金利上昇が起きている。

米国の民間消費が好調であり、その原因は2008年8兆ドルの家計金融資産が2017年には16兆ドルになっている。しかし、その間に新しい投資は、たった6千億ドルしかない。ほとんどが株式市場での株価の上昇による。自動車のサブフライム問題で販売台数が落ちたが、住宅販売が好調になってきた。というように経済は好調になっている。

それも金融資産を持つ上位10%程度の人の消費が米国を支えている。このため、2007年のリーマンショク前のバブル期以上に株や住宅など資産価格が上昇している。景気が良いということは、バブルも絶好調ということになり、バブル崩壊をFRBは心配している。しかし、バブル崩壊の切欠が何になるのかはわからない。

私は、当初7月の雇用統計が低調になり、そこで大きな調整が起きると見たが、そうではなかった。次の候補は10月の国債限度額の引き上げに失敗して、米国債がデフォルトすることになると見る。ということで、大きな調整は10月まで先送りになったようである。

景気好調なのに、トランプ政権は、鉄鋼の輸入関税を20%するなど、保護貿易に向かっている。次にアルミの輸入も同様な処置をとるようであり、徐々に保護範囲を増やしていくようである。競争的環境ではなくなり、価格を上げていくことができるようになる。それも基礎素材であるので広範な範囲の製品に価格転嫁が起きる。

しかし、この保護貿易で世界的な経済活動を下押しすることになる。中国や欧州などは、対抗的な貿易制限処置をとる可能性があり、米企業を狙い撃ちすることも考えられる。保護貿易で世界的な景気は下押しになり、米国の小麦・肉などの食糧や建設機械の輸出は難しくなる。

米国自体が完全雇用状態であり、かつ移民制限も行い始めて、イスラム圏からの入国を制限した。また、FRBの金利上昇と資産縮小などで、株式市場の一層の株価上昇は限界がある。

このため、景気後退でのインフレが起きるスタグフレーションを起こすことになりそうである。その時にはFRBは、利下げや量的緩和を再度行い、景気を上げる方向になるとみる。このため、現時点では早期に正常化を進めるのである。

print
いま読まれてます

  • トランプ大統領就任からはや半年、米国はここまで落ちぶれるのか
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け