トルコの暴君エルドアン大統領が企む「オスマン帝国」復活の野望

 

しかし第一次大戦で敗北すると、列強の占領下におかれ、植民地となりかけるが独立運動が起こり、1923年にイスラム世界で初となる共和制を宣言オスマン王朝を追放し西洋化を目指す。その中心的指導者がケマル・アタチュルクだった。国土は北の黒海、南のエーゲ海と地中海をまたぐボスポラス海峡やダーダネルス海峡などによって隔てられ、ヨーロッパと中東、中央アジアをつなぐ要衝に位置する。国土は日本の約2倍で、人口は約8,000万人の大国で、大半はイスラム教徒。イスタンブール、アンカラが大都市だ。

経済は世界17位(GDPは8,574億ドル)で軽工業、商業、農業、鉱物資源で成り立つが1990年代から経済は低調だった。インフレと巨額債務に苦しみ、ドイツなどへ出稼ぎにゆく労働者が多いことで知られた。2000年代になって経済はやや持ち直してきた。2003年から現在大統領を務めるエルドアンが首相となり強権的手法でイスラム化を進める統治を行ない存在感が増した。

さらに2007年の憲法改正で大統領制に移行。エルドアンは2014年に大統領に当選し、2017年の改正で大統領権限を一段と強化して今日に至っている。2016年のクーデター未遂事件は、こうしたエルドアン政権の強権策に反発して発生している。軍はトルコのイスラム化に反対し、世俗主義(政教分離の西洋化)を掲げており、トルコ内では農村部はイスラム派、都市部は世俗派が多いとされる。

エルドアン政権はクーデター事件未遂後、5万人以上の民間人、ジャーナリストらを逮捕し、15万人以上の公務員、軍兵士と幹部、警察官、官僚、司法関係者を逮捕した。NATOの加盟国でEU加盟を目指しているが、最近はその強権政治を巡ってEUとの対立も激化している。

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