アパレル業界の闇。経営不振を隠すために使う「隠れ在庫」の手口

 

2.隠れ在庫の怪

もう一つ、帳簿には表れない在庫が隠れている場合がある。たとえば、決算前に在庫が多いと経営不振であることがばれてしまう。その場合、どのようにごまかすのか。

最近のアパレル企業の多くは商社経由で商品調達を行っている。商社から商品を仕入れているわけだ。

困ったアパレルは商社に泣きつく。「一時的に在庫を預かってくれないだろうか」。

商社にとって、アパレル企業は得意先だ。倉庫代と金利と物流費さえ支払ってもらえば、損は発生しない。

ということで、商社に商品を販売したことにして在庫を預かってもらう。実際、縫製不良や納期遅れで商品を返品することはあるので、怪しいことではない。

帳簿上もきれいに処理されている。アパレル企業は棚卸から在庫を消してしまう。しかし、実際にはアパレル所有の在庫が商社の倉庫に隠れているのである。

アパレル企業をM&Aする場合、会計士が帳簿を調査しても見つからない在庫が後から出てくるのはこういうケースだ。

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