なぜ日本人は長生きなのか?慶応大が長寿の秘密を解明

 

また、細胞の老化にはDNAのテロメアの長さが関係している。一般に、動物のからだを構成する細胞は限られた回数しか分裂・増殖することができない。例えば、ヒトの胎児から採取した細胞では、およそ50回の分裂が限界である。

限界まで分裂した細胞を老化細胞、その状態を細胞老化と呼ぶ。テロメアは染色体の端を守る構造で、その長さは細胞の分裂ごとに短くなっていく。これが一種の寿命時計として機能し、テロメアがある長さに達するまで分裂すると細胞が老化することが明らかにされている。

今回、炎症と染色体の末端にある塩基配列(テロメア)の長さが長寿と深い関係を持つことが、超高齢者を対象とした慶應義塾大学と英ニューカッスル大学の研究チームによる大規模調査で明らかになった。

さまざまな副作用がある現在の抗炎症薬に代わる安全な代替薬が開発できれば、高齢者の生活の質を大きく改善し、さらに老化に伴って炎症が起こる理由を解明することで、新しい健康増進法の開発につながることも期待できる、と研究者たちは言っている。

image by:Shutterstock

 

週刊 サイエンスジャーナル

著者/なみ たかし
大学でライフサイエンスを学ぶ。現在/理科教員/サイエンスコミュニケーター/サイエンスライター。メルマガでは毎日の科学ニュースをもとに、最新科学やテクノロジー、環境問題や健康情報など、役に立つ科学情報をわかりやすく解説。
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