不登校で悩む子供の「ココロ」を立ち直らせた、奇跡の通信制高校

 

1,000名以上の生徒の70〜80%が不登校経験者

勇志国際高校は平成17(2005)年に「教育特区」として認定された御所浦町で広域通信制高等学校としてスタートした。開校当時の生徒数114名が、7年後には1,000名を超えるほど入学希望者が押し寄せた。

生徒の70〜80%が不登校経験者、あとは素行不良など元気が良すぎて、はみ出してきた生徒たちで、全体の8割ほどは他の高校からの転入学などである。また、いろいろな事情で高校を卒業できなかった社会人生徒もいる。

生徒の学力レベルは千差万別なので、生徒一人ひとりに応じたカリキュラムを作成し、教師が指導計画を作って対応する。勉強はインターネットを使って自宅で行うが、不登校、引きこもりなど、一人ひとりの状況も違うので、教師がテレビ電話システムを利用して生徒と1対1のコミュニケーションを図る。

年に1回5日間の集中型スクーリングを行う。1回に40〜70人が集まり、宿泊は地元にある12軒の民宿だ。6畳の部屋に4人が雑魚寝する。

ここで生徒たちは自分だけが不登校で悩んでいるのではない、と知り、同室の生徒間で友情が芽生える教師も、年に1回しかない直接のコミュニケーションの機会に、一人ひとりの生徒と真剣に向き合う

こうして生徒一人ひとりへの個別対応ができるというのが、通信制高校の特長であり、野田校長はこれを「生徒本位」という方針で貫いている。

不登校の子供たちは「心の居場所」をなくしている

多くの不登校の子供たちを受け入れて、野田校長はこう語る。

不登校の子供達は、不登校になった原因やきっかけは様々である。しかし一様に昔元気に通学していた頃に戻りたいと、痛切に思っている。しかしどうしても学校にいけないのだ。

不登校している自分が嫌で嫌で、自己嫌悪に陥っている。

学校に行けたとしても、長い間登校していないから、先生はじめクラスの皆が不登校だと認識している。

自宅でも、家族みんなが不登校である自分を、愚痴を言いながらも仕方なく受け入れている。

周りの皆が、不登校であるという一番嫌な自分を認識していることがつらくてたまらないのだ。

その結果、彼らは「心の居場所」をなくしている。学校はもとより家庭すらも心が安心できる居場所ではなくなっているのだ。
(同上)

生徒本位」に一人ひとりの子供たちを見ているからこそ、「心の居場所」をなくした不登校の子供たちの心をここまで理解できるのだろう。

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