「経済封鎖」は可能か?
【読売】は1面トップに2面、3面「スキャナー」と社説、7面国際面、8面と9面は金融市場の反応。見出しから。
1面
- 北 制裁逃れ外貨稼ぎ
- 石炭輸出 東南アに変更
- アフリカに武器を提供
- ICBM発射可能性 韓国国防相
- 米、追加制裁提案へ
- 安保理緊急会合 11日採決目指す
2面
- 政府 安保理決議へ調整
- 河野外相、各国大使と会談
- G7、追加制裁要求 首脳声明
3面
- 米、対北経済封鎖へ
- 貿易国へ制裁示唆
- 中ロは慎重崩さず
- 軍事行動検討 報復攻撃防ぎきれず
安保環境悪化へ着実に備えよ(社説)
7面
- 米韓 北対応で温度差
- 「対話 役に立たず」 トランプ氏投稿 韓国は反論
- 中国 原油制限明言せず 対北追加制裁 「安保理で討論」
8面
- Q 長期金利なぜ再びマイナスに
- 株より安全 国債買い進む
9面
- 米朝緊張 市場神経質に
- 「何か起きそう、すぐに円高」
- 楽観論や慣れ 鈍感な面も
uttiiの眼
1面トップの記事に注目。北朝鮮制裁決議の履行状況を報告したのは国連加盟193カ国中78カ国のみ。残りの115カ国は制裁に協力していない可能性があるということになる。これでも、過去の対北朝鮮制裁決議と比べれば、協力する国は増えた形だという。驚いた。
石炭については第三国経由の迂回輸出、また、アフリカの諸国へは軍事訓練や警護訓練を提供するなどして外貨を稼いでいる。制裁決議は穴だらけで、北朝鮮を孤立させるのは難しいことが分かる。
だが、トランプ米大統領がツイッターに「北朝鮮と取引するいかなる国との貿易も全面的に停止することを検討している」と書き込んだのは、こうした制裁決議の履行状況を劇的に改善するためというよりも、北朝鮮貿易の9割以上を占める中国に対して「米国か北朝鮮か」の二者択一を迫り、中国に厳格な制裁を行わせ、北朝鮮を締め上げようとの意図だろう。ムニューシン財務長官とトランプ大統領が言う「経済封鎖」は、各国に対して北朝鮮との外交関係の縮小・停止を要求し、原油の供給を停止し、北朝鮮からの労働者派遣を受け入れず、さらに繊維製品の輸入を禁止することを求めるもの。
「経済封鎖」はキューバ危機の際の「成功体験」に基づいてデザインされているようだが、しかし、どこまで行っても、中国がその通りに動くかどうかが決定的であることに違いはない。中国が「不参加」となればまったく無意味なものになる。では、アメリカは対中貿易を全面的に停止できるかといえば、それはあり得ないことだろう。米国は雁字搦めの状態と言って良いだろう。