エスカレートする北朝鮮の挑発を、大手新聞社はどう分析しているか

 

重苦しい緊張感が続く

【東京】は1面トップに北朝鮮問題についての連載。関連で2面「核心」、3面、4面に論説委員のコラム、7面経済面、9面外報、26面まで。見出しから。

1面

  • 対米不信で開発固執
  • 「保有国 侵略されず」
  • 「ICBM発射兆候」 韓国国防省 新たな挑発警戒

2面

  • 北朝鮮挑発 米の対応3案
  • 軍事行動 報復の恐れ 日韓の被害甚大
  • 「核保有国」認定 対話路線 核ドミノ誘発も
  • 経済制裁 石油禁輸念頭 中ロは難色
  • 戦術核の再配備 国防相再び言及

3面

  • 首相、各国協議で温度差
  • 北制裁圧力強化

4面

  • 北朝鮮が核武装する日(論説委員のワールド観望)

7面

  • 北のミサイル・核「有事」なぜ円高に
  • 「他より安全」買い戻し

9面

  • 米「あらゆる能力使う」
  • トランプ氏、核にも言及
  • 北核実験に国際社会包囲網
  • 安保理 追加制裁巡り折衝
  • 中 制裁強化なお慎重
  • 韓 「斬首部隊」創設へ
  • 正恩氏らの排除狙う

26面

  • 「ええかげんにせい」 在日コリアンも怒り
  • 「被爆地を愚弄」と危機感
  • 長崎の5団体ら抗議文

uttiiの眼

4面に山本勇二論説委員による「ワールド観望」というコラム。タイトルは「北朝鮮が核武装する日」。

米朝の軍事衝突が絵空事でなくなった今、米国が「現時点で軍事行動に踏み切るのはかなり難しい」のは、北朝鮮の核・ミサイルをすべて破壊するのは不可能で、報復されれば韓国に甚大な被害が出て、被害は東アジア全体に影響するからだと。また、軍事行動に出るためには、在韓米軍の家族ら韓国在住の20万人もの米国人を避難させる必要があるとして、実際上、軍事行動は非現実的だとする。それでも、脅威そのものは増すばかりであり、北朝鮮が小型化した弾頭の模擬弾を載せたICBMを米国近海に落下させ、核武装が完成するのは1年以内とみられ、もはや米国は北朝鮮の核保有を認めざるを得なくなる。そうなれば核拡散防止条約体制は致命傷を負い、韓国では核武装論が高まる云々…。

まさしく、答えのない今の状況を象徴するような文章が続く。そして、日本の核武装は世界が認めず、自衛隊と米軍の一体化が進む中、日本社会は「重苦しい緊張感を強いられるだろう。防衛費が増えれば国の予算編成はさらに厳しくなる」と書いている。

米国が戦争に踏み切れない状態のまま、北朝鮮の核武装化は急速に進展し、戦争の危機そのものは亢進し続け、日本社会に高いコストの支払いを要求するようになる。そこまで論説委員は言っていないが、「日本社会の暗く貧しい未来」が、すぐそこに迫っているような恐怖を感じる。

筆者は最後に、「日米韓は外交と安保の両面で連携し、朝鮮半島と東アジアでの軍事衝突は総力を挙げて防ぐという強い決意を確認し続けたい」と、行儀の良い結論を書いてしまっているが、このコラムで提起されている問題は、「戦争を防ぎ続けるだけでは解決しない問題」ではなかったか。どうしたらいいのだろうか。

あとがき

以上、いかがでしたでしょうか。

「重苦しい緊張感」とは、少なくともしばらく、付き合っていかなければならないようです。しんどいですが、避けられない以上、覚悟するしかないですね。

 

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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