よく聞く「ポリープ」って何? 取る、取らないの判断基準とは

2017.10.02
by Mocosuku
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健康診断を受けて、ポリープが発見されることは、割とよくあることです。

そもそもポリープとは何でしょう。

「そのままにしていると悪性になってしまうのでは?」と不安になると思います。

取った方が良いのでしょうか。今回は、ポリープについて解説します。

ポリープとは

細胞が増殖して、臓器の粘膜の上に隆起してできた突起物のことを「ポリープ」といいます。基本的に良性の隆起性病変をいい、目で見て診断します。

ちなみに、ポリープの語源は、ギリシャ語の「polupous(「多くの足」という意)」に由来しています。

ポリープは、管状あるいは袋状の臓器にできるもので、たとえば肝臓や膵臓のような中身が詰まっている臓器には出現しないとされています。小さいうちはあまり問題がありませんが、大きくなってねじれたり、炎症を起こすと、痛みや出血をともないます。

ポリープの種類

声帯にできる呼吸器系のポリープ、大腸や胃にできる消化器系のポリープ、子宮頸管や子宮内膜にできる女性特有のポリープなどがあります。

また、遺伝子の変異によってできるものを「過形成性ポリープ」、遺伝子に変化はなく、炎症が原因でできるものを「炎症性ポリープ」といいます。

過形成性ポリープ、大腸にできる腺腫性ポリープ、胃にできる腺腫性ポリープは、がん化する可能性があります。

それでは次から、各ポリープの特徴や治療法を見ていきましょう。

親知らずが病気に?

親知らずは、きちんと生えることがあまりなく、歯肉が部分的に被さったままになる人も少なくありません。これによって周囲が不潔になり、歯肉に炎症を起こしやすい状態となります。

これを「智歯周囲炎」と言い、20歳前後の人に多く見られます。ほかの年代の人でも、親知らずが中途半端に生えた状態になっていると起こります。智歯周囲炎が周囲の軟組織や顎骨に広がると顔が腫れたり、口が開きにくくなったりすることがあります。

「声帯ポリープ」の症状や治療法

ポリープの種類別に、特徴や治療法を見ていきましょう。

症状

嗄声(かせい:声がかれる)。声質は、低音になります。大きくなると、まれに呼吸困難を起こします。

治療法

保存療法か、手術療法が行われます。

・保存療法
声を出さないようにして、吸入・炎症を抑える薬を使用します。

・手術療法
保存療法で回復の兆しがない場合は、顕微鏡下でのポリープ切除を行います。術後1週間は、絶対沈黙の指示があるため、しゃべることはできません。

「胃ポリープ」の症状や治療法

症状

自覚症状はほとんどありませんが、まれに上腹部の痛みや不快感、吐き気などが出る場合があります。

治療法

胃ポリープには次の3つの種類があり、それぞれ以下のような治療が行われます。

1.胃底腺ポリープ

中年の女性に多いものです。米粒大ほどのもので、がん化はせず、しばしば自然消滅します。

2.腺腫性ポリープ

良性と悪性の境界性で、一般的には「胃腺腫(いせんしゅ)」といいます。高齢の男性に多いものです。

前がん病変と考えられ、2cm以上になると、約半数はがんを合併する可能性があります。そのため、1年に1回は定期的観察を行うことになります。胃のがん化とともに、離れた部位でがんが合併する可能性も考えられます。

2cm以上に増大したり、がんの合併が疑われる場合は、切除することが多いです。ただ、大きさにかかわらず、予後は良好です。

3.過形成性ポリープ

やや女性に多いです。形態は限局で発赤した小さな隆起から、茎をもつ大きなものまであり、まれにがん化します。ピロリ菌への感染による場合が多いですが、除菌によって消失することもあります。

切除の対象例は、肉眼で合併症が疑われるもの、出血性のもの、十二指腸へ落ち込むものなどです。がん化した場合でも、予後は良好です。

「大腸ポリープ」の症状や治療法

大腸ポリープは、数mm~3cm程度の大きさで、直腸とS状結腸に多く発生します。

小さなポリープのほとんどは、症状がありません。しかし、大きくなってくると、便潜血(検査により血液反応が検出される)や鮮血便(見た目で便に真っ赤な血が混ざっている)などの症状が出ます。

若者や子どもに出る若年性ポリープは、自然脱落し、がん化することはありませんが、大きなポリープは、腸重積を起こしたり、肛門外に出ることもあります。

また、大腸ポリープは、腫瘍性と非腫瘍性にわけられます。

1.腫瘍性

腺腫ポリープと過形成性ポリープがあります。

・腺腫ポリープ
大腸に100個以上の腺腫ができるものを「大腸腺腫症(大腸ポリポーシス)」といい、放置すると必ず大腸がんが発生するため、大腸切除術を行います。

血便、下痢、腹痛などの症状以外に、体表部に骨腫や線維腫、軟部腫瘍などが出ます。

・過形成性ポリープ
頻度の多いポリープで、がん化の危険は少ないです。遺伝子が変化してできたものであるため、過形成ポリープが見つかった場合は、腫瘍のできやすい体質と考え、定期検診を受けることが望ましいとされています。

2.非腫瘍性

非腫瘍性ポリープは、基本的に良性のポリープで、がん化することは珍しいです。

過誤腫性、炎症性、過形成性ポリープの3つがあります。症状がなければ、経過観察をします。

「子宮頸管ポリープ」の症状や治療法

炎症がきっかけで子宮頸管の粘膜が増殖し、頸管にキノコのようなポリープができる病気です。

数mm~数cmほどの大きさで、1つだけできる場合が多いです。

ほとんどは良性ですが、まれにポリープ状の悪性腫瘍の可能性も考えられるので、原則として切除して細胞組織を調べます。

症状

わずかな刺激で出血しやすく、性交や運動の後に不正出血が出ることがあります。おりものの増加がみられます。

治療法

・切除する場合
通常は麻酔なしで、外来で行います。切除したポリープの細胞組織を調べ、悪性の有無をみます。

・切除しない場合
妊娠している場合、切除することで子宮内に影響をあたえ、流産や破水を招くリスクがあります。悪性が疑われなければ、切除しないほうがいい、という考え方もあります。

妊婦健診でポリープが見つかった場合は、切除の有無など医師と相談して、納得のいく方法を模索しましょう。

「子宮内膜ポリープ」の症状や治療法

子宮内膜から子宮の内側に向かってできたポリープのことです。出現には女性ホルモンの乱れが関わっていて、子宮内膜症が進行するにつれて、併発することが多いものです。

大きさは1cm未満のものがある一方、2cm以上のポリープになることがあります。

40~50代に多くみられますが、不妊治療をしている中で子宮内ポリープが見つかることもあります。

ほとんどが良性ですが、悪性のこともありますので、慎重に検査の必要があります。

症状

無症状、過多月経、不正出血のほか、ひどい生理痛を起こすこともあります。不妊の原因になる可能性があります。

治療法

月経時の出血とともに自然に取れてなくなることもありますが、手術でとるのが一般的です。

ひとくちに「ポリープ」といっても、発生場所・性状・大きさなどはさまざまです。

そのため、一概に「取る・取らない」と判断できないものがあります。

主治医の話をよく聴き、納得のいく治療法を選びたいですね。

 

執筆:南部 洋子(助産師・看護師・タッチケア公認講師)
医療監修:株式会社とらうべ

 

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

image by: Shutterstock

 

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記事提供:Mocosuku(もこすく)

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