ザッカーバーグが課題書に選んだことで20万部も売れた話題の書

 

振り返って見れば、ヨーロッパの絶対王政のころから近代の国民国家にいたるまで、国家というシステムは「上意下達」でした。システムの管理者は権力者として上座にいて、国民を上から指示し命令し、規範を押しつけていたのです。管理する側とされる側は、分離した存在だったといえるでしょう。だから「殺す側と殺される側」「権力者と反権力」といった二分論が成立したのです。この二分構造で社会や政治を語る人は、いまの日本にもたくさんいます。

しかし、いま起きているマイクロパワーの台頭は、まったく違う権力構造をつくり出そうとしているのです。国家の力が相対的に下がり、さまざまなマイクロパワーが相対的に増大し、そこでは権力は上からやってくる所与の力としてではなく、さまざまなパワーの相互作用というようなものへと変質していくことになるからです。

もちろん政府や自治体が統治機構としての意味をなくすわけではありません。でも、それらの統治機構は、人々や組織などさまざまなパワーの間の相互作用としてしか生成されません。マイクロパワーが相互につながり、さまざまなパワーゲームを行うことによって生まれてくるネットワーク的なものが新しい統治の形態となるということなのです。

私はこの構造変化をくり返し訴えてきており、本書の主張にはたいへんうなずけるものがありました。お勧めの本です。

 

佐々木俊尚の未来地図レポート』より一部抜粋

著者/佐々木俊尚(ジャーナリスト)
1961年生まれ。早稲田大政経学部中退。1988年毎日新聞社入社、1999年アスキーに移籍。2003年退職し、フリージャーナリストとして主にIT分野を取材している。博覧強記さかつ群を抜く情報取集能力がいかんなく発揮されたメルマガはメインの特集はもちろん、読むべき記事を紹介するキュレーションも超ユースフル。
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