その保険料を払えない人まで含めるとすれば確かに保険としてはどうなのかなという面はありますが、20歳から60歳まで40年もあるから、支払える時に支払ってもらって支払えない時は免除しようとなりました。普通は長期保険で保険料を何年も免除したのに年金を出す仕組みは成り立ちませんけどね。国民全員に保障ができたのはやはり免除制度の存在が大きい。この免除制度をうまく利用していただいていたらわざわざ年金受給資格期間を25年から10年に短縮する必要は無かったと思う。
さて、全額税金でやる福祉年金は金額こそ低額はありましたがとても喜ばれたんです。しかし、昭和36年4月からの拠出制の国民年金に向けて、保険料を徴収する準備が始まる(年金手帳の配布)昭和35年10月から社会党を中心に全国的に大規模な反対運動が始まったんです。反対運動が広がって、国民年金の変な悪評が広まってしまって制度が軌道に乗らず、定着するまでは10年ほどかかってしまった。
なぜこんなに強い反対運動があったかというと、保険料を戦費調達に使われるかもしれないとか年金積立金の使途が不明だったからです。だから、年金保険料は別に管理して使途を明確にする事になったんですね。
また、国民年金が作られる時に全額税で支給する税方式でやるか、あらかじめ保険料を納める自助努力と自己責任の精神である社会保険方式でやるのかという問題がありましたが、やはりあらかじめ自助努力で老後に備えるという事は当然であり社会保険方式が採られたわけです。
そりゃあみんな出来るだけ保険料負担なんてしたくないし、税金で支払ってもらった方が管理コストも無いし、一定の年齢になれば誰もが年金が支払われる。しかし、老齢とか障害、死亡という事態に対してあらかじめ自分の力でできるだけの備えをする事は生活態度としては当然の事であり、社会は自助努力と自己責任の原則が基となっています。
毎回くどいようですが年金は保険であります。社会保険方式であれば、納めた保険料に対して給付額も変わるから、保険料納めた額が低いなら低い年金になるし、保険料を納めた額が多いなら多めの年金になるから給付(年金)と負担(保険料)の関係が明白。
また、当時これから高齢化が進む事は既に見込まれており、税方式でやるとなると将来とんでもない負担になるし、全額税金でやるとなるとどうしても給付は低額になりやすく、所得制限や何かと政府の介入が入り込みやすいから社会保険方式が決定された。税方式か社会保険方式か? という決断の面ではそう時間がかかる問題ではなかった。まあ、今は年金給付は1年間で57兆円とかそんな巨額だから、税方式だったらとてもじゃないけど不可能ですよね。消費税なら1%上げれば2兆7千億ほどの税収になりますが、最低でも20%は消費税上げないといけない。
というわけで、この年金月間はちょっと年金について振り返ってみてはいかがでしょうか? 自分の年金はこうなってるのか~とかわかると親しみが持てるかもしれませんね^ ^。
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